表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
132/455

第132話 お土産

 展望台からの眺めを十分に堪能すると、階下のお土産売り場で買い物を楽しんでいた。

 こう言うお土産売り場のラインナップは大体ご当地の菓子や名所に因んだ物を販売と相場は決まっている。

 転生した時雨にとって、それはとても新鮮で旅行へ足を運ぶ時はその土地のお土産に心躍らせたものだ。

 香がお土産を物色していると、饅頭の詰め合わせを嬉しそうに選んだ。


「やっぱり甘い物は外せないよね」

「香ちゃんは甘いお菓子が好きだね」

「えへへ、でも私が一番好きなのは目の前にいる時雨ちゃんだよ」


 嬉しい告白なのだが、偶々傍を通りがかった男性店員は香の言葉に思わず振り向いて反応すると、客に呼び止められて我に返り接客の対応に追われる。

 時雨もお土産を物色していくと、無造作に置かれている木刀に目を奪われる。


(これは……)


 何の変哲もない木刀を手にすると、騎士としての血が騒ぐ。

 中学生の修学旅行でも旅行先のお土産屋で木刀があるのを見つけると、思わず見惚れてしまったぐらいだ。

 当時、そんな時雨に加奈は「まるで男の子みたいね」と茶化されたが、そんな言葉を気にせず衝動買いしてしまった過去がある。

 あの時の木刀は結局部屋の片隅で放置されて、不思議と手元に届く範囲にあると熱意も冷めて、どうして衝動買いしてしまったのだろうと後悔してしまった。

 冷静になって考えると、また同じ轍を踏むのが目に見えているので木刀を元の位置に戻すと、代わりに可愛らしいカチューシャを手に取った。


「これなんか、香ちゃんに似合うと思うよ。私はこれにしようかな」


 時雨は香のために赤のカチューシャ、時雨は青のカチューシャをそれぞれ選ぶと香は喜んでくれた。


「わぁ、僕のためにありがとう!?」


 思わず一人称が『私』から『僕』と素の状態でなってしまったが、それだけ嬉しかったのだろう。

 二人はレジに並ぶと、先程の男性店員がレジ対応に当たる。

 お釣りと土産物袋を手渡すと手を繋いで去って行く二人を目で見送っていると、店長が腕を組んで遮るように立って勤務中にぼっーとするなと注意を促されるのが聞こえてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ