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第116話 年齢換算

 本調子を取り戻すまで、凛と紅葉を休憩室で休ませる事にした。


「ごめんなさい。私と紅葉はもう少しここで涼んで合流するから、二人は先に昼食でも食べていなさいな」

「また二人だけにして妙な勝負事を始めたら、私の胃に穴が開きそうですよ」


 凛は申し訳なさそうに時雨と加奈を看病の束縛から解放させようとする。

 さすがに懲りて勝負を仕掛けるような事態はないだろうが、二人に万が一の事があるかもしれないので心配性の時雨は放っておく事はできない。


「君の胃に負担は掛けないから安心していいよ。そうだな……私にまた愛のあるキスをしてくれたら、完全復活するかもしれないな」

「ば……馬鹿な事を言わないで下さい!? キスより、スポーツ飲料水で水分を補給して下さい」


 紅葉が冗談交じりで笑いながら、気遣った言葉を投げ掛けてくれる。

 仮にキスなんてしたら、余計に体温が上昇して涼むどころの話ではない。

 時雨は新しく買ったスポーツ飲料水を恥ずかしがりながら紅葉に手渡すと、凛は喰い付くように興味を示した。


「あら、それなら私も時雨のキスをしてくれたら完全復活するわ。愛する王子様のキスでお姫様は眠りから覚める展開はロマンチックだと思わないかしら」

「凛先輩もですよ。全く、加奈みたいな台詞は勘弁して下さい」


 凛にも新しいスポーツ飲料水を手渡すと、やはり二人だけにするのはまずいなと頭痛の種が芽生える。

 すぐ横で聞いていた加奈は反論するようにして憤慨する。


「時雨、私ならキスよりもっと激しいのがいいわ。例えば、セッ……」


 加奈の台詞を遮るように時雨は口を塞ぐと、これ以上この場をかき乱すのは止めて欲しいと心底願った。


「ふふっ、二人の様子を見ていたら気分も良くなってきたわ。私達は本当に大丈夫だから、後で合流しましょう」


 スポーツ飲料水を一口飲むと、柔和な表情で手を振ってみせた。


「ほら、お姫様のお言葉に甘えて行くわよ」


 加奈は塞がれていた口を振り解くと、時雨の背中を押して休憩室を後にする。


「あの二人なら大丈夫でしょ。前世から年齢を数えたら十分に大人なんだからね」

「それは加奈もそうでしょ」


 加奈の言う通りなのだが、それを言ったら加奈自身も当て嵌まるんだよなと思わず突っ込んでしまう。

 しかし、加奈は詰めが甘いと補足を加えて訂正する。


「ダークエルフの年齢換算だと百歳未満は人間の十八歳未満と変わらないからねぇ。私は二十歳そこそこの年齢で亡くなったから、時雨達より若いよ」


 人間とダークエルフでは寿命に圧倒的な差がある。

 釈然としない様子で、何かその計算方法はずるいなと時雨は思う。

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