プロローグ~親子の日常~
初投稿&処女作です。
とある国の小さな領地にある、そのまた小さな村のはずれに、二人の親子が住んでいた。
「フェルー、晩御飯できたぞ」
雪が降り積もる山小屋から一人の男が出てきた。
「あっ、お父さん。もうできるからちょっと待ってて」
フェルと呼ばれた少年は、父親のことを横目に雪の塊に枝を刺してゆく。
「なんだまだ雪だるま作ってたのか?」
「うん、そうだよ。こっちのおっきいのがお父さんで、こっちのちっちゃいのが僕だよ」
「おぉ、よくできてるじゃないか」
二つの雪だるまを見ていると違和感があった。
「ん?父さんの雪だるまが持ってるのはなんだい?」
そう大きな方の雪だるまには、雪だるまについている枝とはちがう、ねじまがったような枝があった。
「これはね、『まじゅつしのつえ』だよ。僕、大きくなったらお父さんみたいな『まじゅつし』になるんだ」
「そうかそうか、フェルならきっと父さんよりも立派な魔術師になれるぞ」
「ほんと?」
少年は疑わしそうな目で父親を見る。
「ああそうだ、何て言ったって父さんの息子だからな!」
そう言いながら少年の頭を撫でまわしている。
「さぁ、晩飯が冷めてしまうからな、家に入るぞ」
「うん!」
こうして二人の親子は小屋に入っていく。
いつもと変わらない何気ない日常の一部。
明日も続くとは限らずに…
不定期連載です。感想や意見あればよろしくお願いします。章や題名がちょくちょく変わります。