45/46
CARD44
◇
汗の匂いがした。
誰のものかはわからない。空調はしっかり効いている。でも、それでも、息をのむような試合が目の前で展開されているのだ。
俺は血は幕張、その憧れの舞台にいた。
もちろん、観客としてだ。
全日本学生選手権決勝戦。桜華院高校が今、優勝に王手をかけている。
もちろん、相手も強敵だ。強力なデッキを用意してきている。だが、貴文はそれを簡単に超えていく。
相手はその最後の一枚を引く。そして次の瞬間、すべてを悟った。デッキトップに掌を置いて、その手をそのまま差し出した。その手を貴文が握り返す。
貴文の勝利だ。無敗の歴史に、また新たなページが刻まれた瞬間だ。
会場が大きな拍手に包まれる。
「来年こそは」
隣で先輩が言った。
「来年こそは、あそこに」
「はい。絶対に」
その時だ。
貴文と目が合った。単に俺のほうを見ているだけ、いやそんなことはない。彼の眼は確実に俺をとらえている。
――僕はここで待ってる。
王者は、そう俺に語り掛けている。そんな気がした。
(END)




