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CARD38

 ◇


「影山先輩!」

 いつも通り、進学校の生徒とは思えない銀髪にドクロをあしらったシャツ、とんがった靴という出立ちで、彼はこの舞台に現れたのだ。

 俺は思いっきりガッツポーズした。そして心の中でつぶやく――そうだよな。大好きな人が困ってるって聞いたら、放っておけないよな。

「いっつも超元気な桜木大先生の、元気無いところが見れるって聞いたから来てみたんだけど」

 そんなことを言う先輩。照れ隠し、というふうでもなく、あくまでサラッと言う。どうだ、ようやく救世主のお出ましだぞ、そんな感じ。

「桜木先輩なら、今保健室で休んでますよ」

「え、そうなの。なんだよ」

 そう言いながら、先輩は机に置かれたジャッジのタブレットを覗き込んだ。

「お、なに。今一勝一敗ね」

「先輩、グランプリベスト十六の力、見せつけちゃってくださいよ」

「おまえ、馬鹿にしてんだろ」

 そう言いながら、席に着く。

「あーデッキは桜木のしか使えないんだっけ」

 補欠の選手はどのメンバーとでも交代できるが、デッキまで交換することはできない。

「そうです」

「オレさぁ、【ゴブリン】嫌いなんだよねぇ。かわいくねーし、カッコよくもねーし。練習してねーわ」

 まるで「寝てないわー」と自慢する中学生のようにそう言って、しかしその後ニヤリとして宣言する。

「まあでも勝つけどね」

 その眼光はしっかり相手を見据える。

「よろしくお願いします」

「よろしくー」

 考えてみれば、彼のプレイを見るのは、初めて合った時に戦って以来だ。しかもあの時は、お互い中堅デッキを使ってのデュエルだった。

 先輩が試合デッキを使ってガチで戦うのは初めて見る。

「俺のターン」

 影山先輩のプレイングは完璧だった。完璧にこのデッキのことを理解してる。

「<騎兵>を詠唱、さらに続けて<騎兵>を詠唱」

 幽霊部員とはいえ、カードショップに顔を出しているくらいだ。おそらくデッキの研究もしっかりしているのだろう。

 アーツが好きなのか、それとも桜木先輩ののことが好きなのか。

「負けで……」

 相手が泣きそうな顔でそう宣言した。

「さぁて、桜木に感謝されに行こうか」

 立ち上がった影山先輩は満足げな笑顔を浮かべていた。


 ◇


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