CARD13
「はい、今日の授業終わり。また火曜日にね」
長い一週間がようやく終わった。
明日からゴールデンウィーク。待ちに待ったお休み。家でめいいっぱいゴロゴロするぞ。と言いたいところだが、今年はそうはいかない。
横を見るとギャル子は待ちきれないとばかりに、速攻でカバンに教科書と筆記用具を詰め込んでいた。おそらく、あれらは一週間カバンの中にしまいっぱなしにされるのだろう。
そして彼女は教室の誰よりも早く立ち上がる。その速さは、環境最速のゴブリンデッキにも負けない。
俺も立ち上がってカバンを肩に背負う。いつもならこのまま部室に行くところだが、とりあえず一度帰宅する。
今日は部活がない。
代わりに、夜から、トレカ部の合宿が行われるのだ。
場所はなんと、この時点で不明。俺たちは集合場所と持ち物だけ伝えられていた。先輩いわく「わくわく感も大事でしょ」とのことだった・
ちなみに事前に持ち物リストには、着替えに歯ブラシといった旅行なら当たり前のもの以外に、水着なんてものも入っていた。正直、先輩の水着姿を見れると思うと、それだけでテンションが上ってしまう。毎日の練習に耐えてきたかいがあるというものだ。
帰宅すると珍しく妹の「おかえり」という声が聞こえてきた。玄関には大きいキャリーケースが置かれている。
「どっかいくのか」
俺が尋ねると、
「うん。アメリカ」
妹は近所のコンビニにでも行くかのような口ぶりでいった。
世界で戦う妹にとって、アメリカに行くのはなんてことないことなのだ。こういうふとした瞬間に、妹のすごさを感じる。
ちなみに、俺は日本から一歩も出たことない。もっというとパスポートも持ってない。多分、パスポートを取るのは二年後の冬、つまりオリンピックイヤーの前になるだろう。
「一週間帰ってこないから。お留守番よろしく」
「あ、俺も明日から合宿なんだよね。あ、いや正確には今日の夜から」
俺がそう言うと、
「合宿?」妹は怪訝な顔をした。「お泊り会ではなく?」
「一応、今度の県大会に向けての強化合宿」
「カードで、強化合宿??」
まあ、それが普通の反応だわな。
だが、この一週間トレカ部にいて分かったのが、桜木先輩はとにかく本気だということだ。彼女にとって部活中のデュエルは、遊びではなく、「練習」なのだ。ゆえに、今回の合宿も、「お泊まり会」ではなく「強化合宿」。
「まぁ、一応日本一目指してやってるからね」
「ふーん」
妹はばっかみたい、という表情をしながら部屋に帰っていった。
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