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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

愛について

眼球

作者: 杉村 衣水

閲覧ありがとうございます

評価もありがとうございます

木崎が俺の前に顔を合わせてすとんと座ったかと思うと、いきなり俺の瞼をおさえてきた。


「何、痛いん……ひえっ!?」


抗議する間もなく眼球をべろりと舐められ、赤く熱い舌先が視界を埋め尽くす。


「何すんだよ!」


「目玉を喰らってやろうと思うてな」


「なんだそりゃ」


目を擦りながらそう返すと、木崎は楽しそうに笑った。


「二見クンは目があんまり大きく無いね」


「……うるさいな」


木崎は、腹が立つくらいに綺麗な顔立ちをしている。

喜怒哀楽どの表情をしても絵を描いたように美しい。

まだ未完成な成長であるのに、きっと誰もが彼に見とれるだろう。おまけに八方美人とくれば、俺のような馬鹿が増えるのも頷ける。


俺がふてくされたような表情をすると、木崎は「俺の眼も食べて良いよ」と意味の解らない事を言ってきた。


「は? なんで」


「要らないの?」


「要らないよ」


「俺は二見の目ん玉欲しいよ」


「……キモいなー」


「俺が食べちゃえばさ、二見は最後に俺を見て、それから何にも目移りしないから」


俺がいつお前以外に目移りしたよ。

一体どの口が言うのかと、彼をぶん殴りたくなった。

けれどその僅かに見せる独占欲のようなものに、俄かに優越感がわき起こる。

こいつは、ちゃんと俺が好きなのだろうか。


「俺は、木崎にとってなんなんだ?」


疑問を素直に口にすると、彼は幼い子供のように瞬いた。


「今更、何言ってんだよ」


「言えよ」


「何を」


「口に出して言え」


ムキになっている。こんな事で。


「どうしたの、二見クン」


木崎が声をたてて笑うから、一気に自分が馬鹿らしくなった。


「……どうもしないよ」


別に、どうもしない。

少し期待しただけで。

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