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1話 人が支配する大陸
九年前、大陸全土を巻き込む戦争があった。
ある者は地位や金のために。
ある者は正義と愛国心のために。
ある者は愛する者の未来のために。
ある者は己の戦闘意欲を満たすために。
さまざまな思いが交錯したこの戦争は、当時人口約三十億人の大陸から、半分以上の人間の命を奪い去った。
東のカルディナ王国。
北のセレス王国。
南のシウルリウス王国。
西のウォーラルト王国。
これら大陸の四大王国はこの大戦を悔い、二度とこの惨劇を起こさないよう四国同盟を結ぶと、大国、小国から集めた十三人の最も優れた武人、魔道士から成る中立の《組織》を結成。
条約を破れば《組織》の人間が制裁を与えるという仕組みを作り上げた。
この《組織》の下、各国は争いもなく、九年間で急成長を遂げた。
未だ戦争の傷が残る中、人々は死んでいった仲間のため、あるいは自分の明日のため、少しずつ立ち直っていった。
各国間の貿易も盛んになり、大陸は平和に包まれた。
……あくまで表面上の話だが。