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第九話 店主カルマンド

フォスキアの街の光景を見た一行。ここから先は警戒して進もうと意気込むが、直後にリザードマンのアホさを垣間見る。

フォスキアの街の通り。そこではいくらかのリザードマンが常に警戒態勢を取っている。

「……ぎゅう……」

二体組のリザードマンのうちの一体が肘で相方をつつく。うとうととしてた相方ははっと目を覚まし、灰色のコートの内側に右手を入れる。起こしたほうのリザードマンがあごでくいっとして、あっちを見ろというふうに示す。そこそこ大きな植木鉢が、葉をかさかさと揺らしながらゆっくりふらふらと移動している。植木鉢の底は若干浮いていて、根っこが忙しなく動いている。

「ぐるる……」

「ぐぁっ」

鳴き声を一つラリーすると、控えめに笑い出した。

「なんだ?あれ」

「また魔王軍のおかしなものじゃないの?」

ぽつぽつと人間も歩いているが、ふらふらと動くそれを怪しんで避けて歩くから、衝突することはなかった。そのままそれは狭い小さな通りに入っていく。

「ぐる?」

どす、とぶつかったのはまた別の灰色コートのリザードマン。それはぶつかったそれをひょいと持ち上げてみた。

「……こんにちはー……」

緑の葉っぱの下には、黄色く光る目が隠れていた。リザードマンは植木鉢をがしゃんと投げ割り、内ポケットから右手にナイフを取った。砕けた植木鉢からは一体の木のゴーストと二体のスライムが飛び出てきた。

「バレました〜!」

「なんでここまで行けたんだよ!?」

「それより敵見て!」

最初に地面に落ちたカストラータが跳ねてリザードマンの足元に突撃し、足を払って膝をつかせた。

「ナイス、カストラータ!」

フーガは火球を作り出し、ぴょんぴょんと壁を蹴り、上へ上へと跳ねてリザードマンの頭上を取る。リザードマンはそれを見て後ろに退き、ナイフを構えて迎撃をしようと構える。

「フォリアっ!」

カノンが叫びながら、大量の鋭い葉を飛ばした。上を見ていたリザードマンはコートの袖で顔を隠すようにし、注目は木属性の魔法が飛んできた方向に向く。その二秒後、その頭上にフーガが落ちてくる。

「フォーコ!」

大きな火球がリザードマンの顔面に直撃し、その勢いによろめく。数秒してその火が消えると、逃げるようにこの小さな通りから出ていった。

「あれ、案外すぐ決着するのね」

カストラータは辺りを見る。目立たない小さな路地で行った戦闘だったから、あまり大きな騒ぎにはなっていなさそうだった。

「さっすがフーガさん。よく上から叩くとか考えましたね?」

「カノンもナイス。なんか思いついたんだよね。かっこよくなかった?」

一通り敵を退けた喜びについて話したあとで、フーガがカストラータに聞く。

「で、この路地なの?きみの知り合いの、なんだっけ。誰かがやってるお店があるんだっけ?」

「うん。カルマンドっていうリザードマンなの。Under-1。もうちょっと行った先にお店があったはず」

カストラータが自然に前に出て、二体を案内するように歩き始める。数メートル行ってからY字路を右に行き、また数メートル進む。横幅1メートルと少し程度の、ホコリが転がっている道の左右の壁にはぽつぽつとドアがあり、店の裏口とか、ひっそりとした酒屋とかが多いようだった。そのまま歩いていると、カストラータが立ち止まる。

「ここ」

そこのドアには、『カルマンドの魔法具店』と、がたがたとした字で掘られた小さな木の看板が下げられていた。

「カルマンドー!遊びに来たよ、友だちもいる!」

ドア越しにそう言うと、数秒してからドアが開き、カルマンドと言うらしいリザードマンが現れた。外のリザードマンと同じように灰色のコートを着て、その指には小さな黄色の球状の魔石が埋め込まれた指輪がはまっている。女性のようで背は少し小さく、150cmくらいに見える。

「ひさし、ぶリ、カストラータ……!」

カルマンドは膝を折ってしゃがみ、カストラータを抱きかかえた。

「おトもだち、さん、モ、はじメまして。カルマンド、です」

そしてフーガとカノンの方を見て、目を閉じて笑う。多少どもって、単語の切れ目も大きいが、他のリザードマンよりも流暢であるように聞こえた。

「どうも。フーガです」

「カノンです!」

カルマンドは自己紹介をする二体の魔族をじっと見つめ、首をかしげる。

「ふしぎ……まりょク、が……」

それからフーガにぐいっと顔を近づけると、その中に浮かぶ魔石を見つめた。

「ど、どうしました?」

「トくべつ、ナ、ませキ。せいせイ、ほウほう、も、かこう、モ……ぐるる……」

ぶつぶつ言っていたかと思えば、それはだんだんと鳴き声に変化して、最終的には何を言っているのかわからなくなってしまった。

「カルマンド?」

「あ、ごめン、つい……」

カストラータに言われてはっとしたように目をパチパチとさせ、頭の後ろを掻いた。それからかストラータを抱えたまま立ち上がり、店の中に目を向ける。

「きテ。あなたたチ、の、ちから、ニ、なれる。おともダち、さん」

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