第六話 紅一点とアホとアホ。あとリザードマン
反逆のために仲間探しをはじめたカノンとフーガ。なかなか難航しているとそこに一体のスライム、カストラータが仲間になると名乗りを上げた。
「で、なんで一緒に来るなんて言っちゃったの?」
「まあ不満があるのは事実だし?あとノリと勢い」
「なんでノリと勢いで来ちゃったんですか……」
三体の魔物は曖昧な隊列を組みながら、フォスキアという街のある方向へと漠然と向かっていた。いつの間にか森を抜け、そよ風の吹く草原には地平線まで広がる青空とぽつぽつと小さな村が見えるだけだった。カストラータがノリと勢いと言っているそれを、フーガはじっと見ていた。
「……何?赤スライムさん」
「なんでもない。あと僕はフーガ」
小さな返事をカストラータがすると、また一行は目的地の方向を向く。
「ところで、知り合いってどんな方なんですか?」
ふと、カノンは気になったことを率直に聞いてみた。
「ああ、リザードマンなの。フォスキアにお店を構えてる。同族が多いからって理由で定住してるみたい」
「ちょうどあんな感じのだな」
フーガが視線をやった先には、灰色のコートを着て短剣を携えた、尻尾を露出させ、緑色の鱗に包まれたリザードマンがいた。それは明らかに三体の方を見て、赤く光る目を向けている。
「あー。あれがそれなんですね」
「リザードマンって目赤いんだな」
「こっち来てますよ。もしかしてあの方がご友人だったりします?」
「結構いい武器っぽいな」
「あれ私たちに敵対してるよ」
「え?」
「は?」
ゆっくりと近づいてくるリザードマンは短剣を逆手に持ち、三体のみを見ている。
「ああ、そうだ。赤い目ってのは大体の場合敵対を意味する。興奮状態とかも」
「じゃあぼくら敵対されてるってことですか?」
「わかんないよ。敵対される理由もないし」
「いやあんたたち反逆者でしょ?仲間集めも時間かけてたっぽいし情報もう行ってたりするんじゃないの?」
「あー。そうかも」
「そうですね」
「ぐるる……」
「リザードマンって鳴き声なんですか?」
「そうだな。がんばれば喋れるって感じだった気もする。すれ違ったぐらいしか会ったことないからよくわからないけども」
「カストラータさん、喋れるリザードマンっているんですか?」
カノンがカストラータがいた方を見る。そこにはもう誰もない。
「……まずいですかこれ?」
「応戦!!」
「ギャアアッ!」
そのリザードマンは叫びながら、ナイフを向けて突撃してくる。フーガは火球を作り出して構える。
「フォーコ!」
ぼっと火球を発射すると、リザードマンに的中。コートの炎を振り払うとあっさりと撤退していった。逃げていくそれをフーガとカノンは眺める。
「……カストラーター。追い払ったよー」
どこかにいるかストラータにフーガが言った。すると遠くの方から石が飛んできて、カノンの頭にずぼっと入った。
「ん?何か入りました?」
「バカじゃないの!?なんで赤い目とか常識レベルのことわかんないの!」
「あーだってよく知らなかったからさぁ。リザードマンのこと」
「バカ!そのバカ加減でどうやってトーンデフ倒したの!?」
「アレですよ。普段アホでもいざというとき頭が切れるタイプなんですよ」
「アホっつったな今お前アホはお前も大概だぞお前」
「ぼくはただアホなんじゃなくて社会をまだよく知らないだけですー」
「変わらんわ僕と同じアホだよアホ」
「どっちもアホだわ」
「あといつの間にかすごい距離詰めてきてません?」
「アホにアホって突っ込んで何が悪いの。反逆するってんならもっと知性あったほうがいいんじゃない?」
「まあそれは一理ある」
「しかねぇわ」
「お。しかねぇってのはおかしいよな」
「そうですよ!」
「あーもううるっさいなあ!着いてきたの間違いだったこれ!?」
「ちょっ、そういうのはないわ!」
「元気だねぇなんかぁ」
男の声が後方上からしたので三体一緒に振り返ってみる。そこにいたのは竜人だった。指先は黒く、白く長い爪が露出している。角はねじれ、片方が折れている。
「うわあぁぁ!」
「きゃああぁぁ!?」
「あ。ラルゴ」
「よぉ。フーガ」




