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第五話 仲間になってほしそうにこちらを見ている

カデンツァと今後の計画について軽く話したフーガとカノンは反逆のための仲間集めを初めた

「すみませーん。僕ら魔王軍に反逆するんですけどもー」

「はぁ!?無茶言うな!」

「お願いします!ぼくたちと一緒に戦って!」

「子供みたいなこと言ってんな!」

それぞれ反逆をするのに仲間を集めようとしていたフーガとカノンは、とぼとぼと集まった。

「どうしましょう……心の中を見れる魔石でももらって来ればよかったですね」

「そういうのがあったらね。みんな怖がってる。魔王軍に反逆するのもそうだし、多分変な詐欺だって思ってる」

「やっぱりそうですよね……」

きょろきょろと周りを見てみると、ガサガサとスライムたちが逃げていく音がする。不審者でも見るような視線とひそひそとした言葉たちが聞こえる。

「僕らが上司を倒した一部始終を見た魔族もいるでしょ。そりゃ怖い。犯罪者……一応まだ予備軍かな、そんなのに協力しろなんて言われてもね」

「そうだ!世にも珍しい魔法を使う一般スライムってことで見世物でもして目を引いたら一体くらいは一緒に来てくれる魔族も来てくれるんじゃないですか?」

「余計に怖がらせるだけでしょ。見世物って称して魔法をばら撒くわけだし」

「あーやっぱそうですよね……」

うんうんと二体の魔族はその場で悩んでばかりいる。

「あれ、カノン今僕のこと見世物にしようって」

「あれ、誰かこっちに来てます?」

カノンがフーガの追求から逃げるように別の方向を向いて言った。視線の先には、こちらに向かってくる緑のスライムがいた。

「カノン今だ!真正面から正直に言うんじゃない!媚売れ媚!」

「なんでぼくなんですか!?」

「女性だからあの子!僕が媚売ったら同族だし年齢的にもキモいけどカノンはいける!」

「女の子、どうやって見分けてるんすかスライム!」

「聞こえてるんだけど?」

二体が向き合って言い合ってるうちにその女の子らしいスライムはいつの間にかすぐ近くまで来ていた。数秒の間そのスライムと二体は見つめ合う。

「カノン!いけ!やれやれやれ媚びろ!」

「あ、あのぉ……ぼくたちの仲間になってくれませんかぁ……?」

カノンはすっと上目遣いの体制に入り、できるだけかわいらしい声で言ってみせた。スライムはわけのわからないものを見る目で見ていた。

「……そんなことしなくても仲間になるけど」

「そうですよね……媚びても成功なんてしないですよ……」

「いや、待って、仲間になってくれるって言った?」

二体の魔物は固まった。それから数秒の間お互い目を合わせる。

「マジですか?」

「マジ。さっきまで勧誘して他の見て気になったんだよねー。なんか仕事も飽きてきてたし」

フーガとカノンは嬉しそうにお互いに体をぺちんと軽くぶつけた。

「ありがとう、僕はフーガ。こっちはカノン。きみは?」

そのスライムはふふっと小さな笑い声を作った。

「私はカストラータ。よろしくね、赤スライムにトレント」

「魔石で赤くなってるだけなんだけど」

「ゴーストです」

「で、あなたたち目的地とかあるの?」

「えっと、フォスキアです!」

「ああ、私知ってる。友だちがいるの!」

「なかなか都合がいいな……」

フーガが訝しげにカストラータを見る。

「いいじゃないですか、都合いいほうが!」

都合よく仲間が一体増えた一行は、森を抜けてフォスキアの街へ向かう。


「おめぇら!ランク外の雑魚のくせに俺のこと通せねぇってか?えぇ!?」

灰色の塀に囲まれた、灰色のレンガでできた家々の並ぶ街。その門の前で、魔法を使った応急処置的な治療で傷も癒えたばかりのトーンデフが怒声を上げている。門を守っている二体のリザードマンは槍を持って、うめき声を上げてその巨体を止めている。

「ここの管轄者に会わせろ!俺は有益な情報ってやつを持ってんだ!反逆者の情報だよ!」

「ぎゅうぅ……」

そんなことも関係ないと言うように二体のリザードマンは強行突破しようとするミノタウロスを押し返そうとしている。頭に血が登ったトーンデフは、逃げるときに持つのを忘れて失った棍棒の代わりに、腕を振り上げる。

「ちょっといいかぁ、おっさん」

後ろからそう呼ばれたトーンデフは、その呼び方からすぐにそっちへ怒りの矛先を向けようとしたが、すぐにその考えを撤回することになった。

「ソイツら、門番だからランクUnder-1はあるぜぇ」

「りゅ……竜人族と……今日で二回も遭遇するとは……」

「オレ以外とも会ったのかぁ。それでその有り様。そりゃご苦労なこったねぇ」

指先は黒く、白く長い爪が露出している。角はねじれ、片方が折れている。吐く息は熱を帯びて熱ささえも感じる。

「安心しなぁ。オレはまだ竜化のコントロールが中途半端なひよっ子だぁ。お前がTop-3よりランクが上ならオレぁ勝てんよぉ」

その竜人は自分よりも大きなミノタウロスへ近寄り、目を細め、にたりと薄暗さを感じさせるような笑みを向けると、トーンデフは腰が抜けたようにその場にへたり込んだ。それから竜人は門を守る二体のリザードマンの前へ行く。

「ああ、名前はラルゴ、Top-3。階級証明石もある。通行料はこの袋に入ってっからぁ。後で不備が見つかったらまぁ、大人しく指示には従うよぉ」

門番は竜人が胸ポケットから出した、小さな白色に淡く光る石を見て納得したように頷き、それからじゃらじゃらと音がなる小さな袋を受け取ると、槍をどかし、門を開いた。ラルゴという竜人はゆっくりと街に入ろうとする。

「ま、待ってくれ!」

「……一応聞いてやろうじゃねぇかぁ?」

ラルゴは立ち止まり、無表情のまま目も合わせないままポケットの中の紙タバコを一本つまみ上げる。

「反逆者だ!反逆者がうちの管轄から出た!そいつらにやられたんだ!」

「大変そうねぇ」

「スライムと、木に乗り移ったゴーストだ!フーガとカノン、名前まで覚えちまった!」

その名前を聞いた途端、タバコを口に咥えて火魔法で火をつけようとしていた動きが止まる。それから、またにたりと笑うが、今回のものは嬉しそうにも見える。

「ふぅん……フーガ、あいつが……」

「次に来るとしたら一番近いこの街だ!だから報告に来たってのにこの無能どもが俺を止めやがったんだ!」

「あぁ結構結構。その話はオレからオブリガートにしとくよぉ」

ラルゴはタバコに火をつけ直し、またゆっくりと街の中へと歩き出す。

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