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第二十話 魔力弾丸

各々の状況を確認した。

三体の魔族は、地上の警戒をしながら屋根の上を歩いていた。カルマンドが前に立ち、カノンがその後ろに着いて、フーガはカノンの頭の上に乗って後ろを見ている。

「人間がいないのはわかりますけど、どうしてリザードマンまでいないんですかね?」

カノンが独り言のように呟く。外には騒動が起こったせいか外には人間は一人もいない。リザードマンさえもどこにも見えなかった。異様ささえ感じる静けさだった。

「なんだ、あれ」

フーガが言うと、カルマンドが後ろを振り向く。遠くに何かが固まって動いているのが見えた。次第に、ぞろぞろという足音がゆっくりと近づいてくる。

「ちょうどよかった。向こうから来てくれるとはね」

「デも、あっチ、カらも、きテる……」

カルマンドはその塊が来ているのとは反対の方向を見る。その方向からも、灰色と黒のコートの塊が迫ってきていた。

「大丈夫、でしょ。上を取ってはいるし、多分大丈夫」

自信なさげにフーガが言うと、カノンがカルマンドの後ろに隠れるように動く。カルマンドは右と左に迫ってくるそれを見て、コートの裾を持ち、顔を隠すようにさっと翻す。その瞬間、コートの内側に何かがバチンと当たり跳ね返った。それは、帯びていた冷気を白い煙として吐き出す銀色の弾丸だった。

まりょクだんガん(魔力弾丸)……」

「やっぱり、ここのリザードマンのコートは特別なんだね」

「ぐるあぁっ!」

フーガが確認するように言い、カルマンドはそれに応えようとしたがその隙もなく、その弾丸が飛んだのを皮切りに、大量のリザードマンが押し寄せる。

「あっちにオブリガートがいたんですか!?」

「うン。みエた」

「でも、遠距離からの攻撃手段なんて、魔法か銃しかないでしょ。じゃあ押しかけられても大丈夫、」

フーガが下を覗き込むと、リザードマンが壁をぞろぞろと登ってきていた。

「あーそうだったな、そうだ、逃げよう!」

「左右塞がってます!どこに行けば!」

「あっチ!」

カルマンドは屋根の上から向こう側の屋根を目掛けて跳ねる。しかし、広い道の間を跳ぶには飛距離が足りない。

「"メタール・ラ・モンテ"!」

そう叫ぶと、オブリガートにやったように道の真ん中に金属の柱が伸び、それの上に一歩を挟んで向こう側へ渡った。

「はヤく!」

「わかってる!」

「わかりました!」

フーガはカノンの頭の上からぴょんと飛び降りて柱の上に飛び乗り、カノンは根を伸ばして柱の上に渡った。そしてほぼ同時に振り返ると、リザードマンたちがこちらに来ようと赤く光る目を向けていた。

「足止め!」

「了解です!」

フーガとカノンはぐっと構え、こちらへ跳んでくるリザードマンを見据える。

「「フーガ砲!」」

そして大群目掛けて太い光線が放たれ、迫ってくるリザードマンを薙ぎ払い退ける。

「メタール!」

フーガとカノンの両側を遮るように大量の金属片が放たれる。そしてまた、銀色の弾丸がその金属の壁に遮られた。

「きテ!」

「ありがとう!」

またぴょんとカノンとフーガは跳び、カルマンドの隣へと着地した。

「どうすル?」

「大将を叩きたいところだけどこの状況じゃ厳しい。まずは、ある程度片付けよう」


「やはりここにいましたね」

オブリガートは、コートの内側に並べられた弾丸を左手で触れながら呟く。銀でできた冷たい弾丸をゆっくりと、儀式のように丁寧に込め、静かにそこにいたカルマンドへ向ける。しかし、引き金を引いて撃ち込む直前にコートで頭を隠され、弾丸は確かに飛んだが弾かれる。淡く赤色に光る目を細め、リザードマンが群がり、魔法製の金属の柱を飛び移って逃げるカルマンドを見る。もう一度、と弾丸を打ち込もうと熱を帯びた銀の弾丸を撃ち込むが、次は金属片に阻まれる。ふむ、と小さく唸り、次はどう動くのかと三体の魔族を見ようとする。すると、途端にオブリガートの周りに炎が舞い上がった。コートで炎を防ぎながら屋根の上を見ると木の葉に落とされる、反対側を見ると金属の柱に跳ね上げられるリザードマンを見た。目に見える範囲の立っているリザードマンは黒いコートの二体だけとなっていた。

「フォーコ!」

その声がした自分の頭上へ視線を向けると、赤いスライムが火球を持ち飛び込んで来るのを見た。

次回 第二十一話『3対3』

2/7 (土) 20:00更新予定

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