第十八話 信じてやれるか
リアルの諸々の事情で今回いつにも増して短めです。
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リザードマンたちに挟まれるも魔法で撃退し、近くにあった人間の家に逃げ込んだフーガ、カノン、カルマンド。家の主人の男に怪しまれていると、リザードマンがドアをノックする音が聞こえた。
「どうも、ご苦労さん」
外からのたどたどしい呼びかけに、人間の太った男は玄関を開けて応じた。多少いやみったらしく言ったが、灰色のコートのリザードマンにそれを理解できるほどの知能は無かった。家の中に入ると右、左とその中を歩きながら見回し、机の下、戸棚の中も念入りに調べる。男はそれを警戒するような目つきで見ている。
「ぐるる……」
そう唸り声を小さく漏らすと、ゆっくりと歩き、また他の場所の調査に向かった。
「まったく……連中は感謝も謝罪も無いんだな」
「そうだね。ちょっとはそういうのあっても良いよね」
太った男の服の中から、一体のスライムが滑り落ちた。
「頭の悪いリザードマンだったらここまで大袈裟に隠れる必要も無かったかもですね」
「ねんのタめ、ダよ」
天井から声がしてから、カノンを片腕に抱えたカルマンドが降りてきた。
「リザードマンって張り付くとかできるんですね」
カノンは軽くそう聞いていた。
「それで……どうして隠れるのを助けてくれたんですか?」
フーガはそう男に聞いた。男は腕を組んでうぅむ、と唸ってから答えた。
「まあ、他の魔族に取られた街や村よりはだいぶ良いらしいが、それでも困るもんは困ってたからな。元々は人間の街だし、ルールは厳しすぎるってわけじゃないが、罰が厳しすぎて気が気じゃない」
「じゃあ、どうして僕の言葉を信じてくれたんですか」
「そりゃあな。少しでも状況を良くしてくれそうだと思ったら信じてみればいいだろ。それに、魔族も人間嫌いばっかじゃないことぐらいは知ってるつもりだ」
無愛想な感じに言う男に、フーガは安堵のため息のような音を立てた。この男が魔族嫌いだったら、すぐにオブリガートたちリザードマンに突き出されるか、殺して自分の手柄として残骸を持って行くかのどちらかになっただろうと考えていた。
「いい人間さんでよかったですね!」
「そウだね」
カルマンドは窓から姿が見えないように、カノンを抱えながら壁際で片膝をついて姿勢を低くしている。
「ありがとうございます。じゃあ、僕らは急がないといけないので、行きますね
「そうですね、ありがとうございます!」
「ありリがとウ、ござイました」
三体の魔族は窓の外を確認し、扉を開けると素早く外へ出ていった。男はそれを見送ると、静かに窓の外を眺めた。
次回 第十九話『後方支援』
1/24 (土) 20:00更新予定




