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「オメェ…… ナンダ?」

「フィー、ミロク無事か? 来るのが遅くなって済まなかったな」

「父様! あ、あれ! 凄く大きくて私達ッ!」

「落ち着けフィー、怖かったろう? でももう大丈夫だ」





絶望的状況の中、ムアムの姿を見たフィーは泣き崩れる。 ムアムは状況を見てヴォルフが戦闘不能、娘達がここを動けない以上この巨人をフィー達から引き離すことを先決とした。





「そこのデカブツ、こんな所で何をするつもりだ?」

「オメェ… チビノクセニ…… チカラツエェナァー」

「お前はデカブツのくせに思ったほどでもないな」

「アア? グヘヘヘッ、…… ナニヲスルツモリダッタカッテ? オメェラミンナクッテヤルヨ」

「させると思うか?」





ムアムは槍を振るった、しかし巨人の手のひらで槍は止まり壊された。





「コンナチィセェモンデヤラレルカ?」

「そうか……」





ムアムは巨人の脚に蹴りを放った。





「ウガッ!!」





自分よりも遥かに小さなムアムの蹴りで巨人は膝を付いた。





「どうした? 俺は自分の大切な娘とその番いに乱暴をしようとしたお前に酷く怒っている。 食うだと? やれるものならやってみろ」





巨人は混乱していた、自分より小さな無力な存在の蹴りが何故効いたのか。 そしてこの威圧感はなんだ? と。





「アア…… ソウイエバ…… イタヨウナキガスルナァ、ムカシ。 グヘヘヘ」





しかしそんなものはどうだっていい、このチビを殺したい、そんな衝動に駆られ巨人は立ち上がる。





「ブッコロス!」





巨人は両腕を高く振り上げムアムに向かって振り下ろす。





「ぐぅッ!!」





だというのにムアムは受け止めた。 とてつもない威力だったのかムアムの足元の地面が抉れる。





「父様!!」






ムアムは幼い頃から強かった、それはベテランの大人の狩人よりもだ。 思うように身体が動いた、力を込めれば獲物の体を握力で潰すことも出来た。




彼には何故自分はそんなふうに出来るのかいまだにわからないことだったが身体能力強化、ムアムが天から授かった力だった。




身体の限界以上の力を発揮しても壊れないその肉体に膂力は現生人類No. 1だった。 





「ゲヘッ、ドウシタ?」

「ぐッ、うおおおおおおッ!!」

「アッ?!」





巨人の腕を掴み投げ飛ばした。





「そっちがどうした?」





潰れないとは…… やはりこいつは強い。 そう思った巨人は笑っていた。 起き上がる際近くにあった岩を砕き飛ばした、しかしそれを予測していたムアムは避ける。





「力自慢と思ったが根を上げたか?」

「グハハハハハハッ! ナラコレハドウダ?」





木を引き抜きムアムを薙ぎ払う。





「悪あがきか」





単純な力任せの攻撃は今のムアムにとって何の脅威もない。 





「娘達をこれ以上怖がらせるわけにはいかない、殺すぞデカブツ」





木に飛び乗り走り抜け巨人の頭を掴む。





「グギャァアアアアッ!!」

「むぅんッ!!」





そのまま回転するように握っている指に力を入れると巨人の頭部に指がめり込んでいき頭皮を突き破り頭蓋骨に達し巨人は力を失い倒れる。






「す、凄い。 ムアムは凄いと思ってたけどこんなに凄かったなんて」





ムアムの強さはよく見ていたけどいつもよりも大幅に人間離れしていたムアムを見てミロクも驚く。





「父様、大丈夫? 怪我はない?」

「お前達こそ。 ミロク、ヴォルフはどうなんだ?」

「あ、うん…… ここまでの怪我したことないから。 ヴォルフ……」





ミロク達の視線がヴォルフに集中した時だった。





「きゃあああッ!」





巨人がまだ生きていてフィーを掴み上げた。





「フィー!!」





巨人族は生命力がとても高い。 普通ならば死んでいてもおかしくないムアムの攻撃にもなんとか耐え切るほどの耐久力を持っていた。





「ヨクモ…… ヤッテクレタナァ」

「フィーを離せ!」

「迂闊に近付くなミロク!」

「でもフィーが!」

「わかっている。 フィーは必ず助け出す」





ミロクを制しムアムは前へ出た。





「巨人よ、その子を離せ」

「ダメダ、クウ」

「ならば今度こそ本当に殺す。 しかし食う前にその子を離せ、貴様も戦士なのだろう?」

「グ…… ッへへへ…… ソウダナァ」





気味の悪い笑みを浮かべ巨人はフィーを持っている腕をムアムに向かって加速させた。





「コイツモロトモツブレテシネッ!」





刹那、ムアムの体から力の本流がここ1番と腕に流れた、フィーを拘束している巨人の腕を切断した。





「バカメ、ソッチハオトリダ」

「だろうな」





巨人のもう片方の手は手刀、背後からムアムを突き刺した。





「いやぁーーーーッ!! 父様ッ!」

「タオシタ、タオシタゾ!! バカナヤツメ」

「みくびるなよ…… 巨人」





即死してもおかしくない一撃をもらったムアムだが突き刺さった巨人の手に貫かれたまま身体を回転することでもぎ取り、巨人の首を引っこ抜いた。





一瞬の出来事、巨人の身体が死を認識出来ず大きな足で地面が揺れるほど叩いた、それは地面に亀裂が走りミロクの目の前で止まったかと思えばその活動は少しの時間差で停止した。





巨人は死んだ。





「フィー…… ミロク」

「いや、父様、いや!!」





ミロクもムアムに駆け寄ろうとした時、地面の小さな亀裂は裂け大きな穴となりミロクはそこに吸い込まれるように落ちる。





「う、うわッ!?」

「ミロクッ、ミロクーーーッ!!」


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