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「ミロク…… 何あれ?」

「わからない、でも大きい。 ヴォルフよりも……」

「グヘヘヘッ、オマエタチ、ウマソウ」






ミロクはこの時初めて恐怖を感じた、この巨人から圧倒的な力を感じそれが自分達に振るわれようとしているから。





巨人がどんどん近付いてきてミロク達に手を伸ばそうとした。





「ガウッ!」





ヴォルフが駆け付け巨人に体当たりをした。 流石の巨人もヴォルフ程の質量となると体勢を崩す。





「オオキイ…… コレモ、クエソウダ」

「グルルルルッ!!」





巨人は6メートルを超える体躯、ヴォルフも頭の高さまで3メートルはある巨狼なのだがこの巨人を前にしては流石に小さく見えた。





「ヴォルフッ! こいつは危険だ。 ティムトのみんなも危ない、なんとかしないと……」





フィーを連れヴォルフの背中に乗る。





ミロクは考えた、ヴォルフは速い。 しかしあっちは巨人とは言え見た目は人間。 だったら脚の速さでヴォルフに適うはずがないと。





「だからみんなから引き離そう、ヴォルフならやれる」





ヴォルフが一吠えするとミロク達を乗せて巨人に背を向け走り出す、それを見た巨人は追いかけて来た。 ミロクの読み通り巨人の脚はヴォルフほど速くない。 どんどん遠ざかるが少しして追い掛けるのをやめてしまった。





「追いかけて来ない? どうしたんだ?」





ミロク達も立ち止まり巨人の様子を窺うとこちらとティムトのみんなが居る方向を交互に見ている。 そしてミロク達に背を向けみんなの方に向かってしまった。





簡単な話だ、狩りやすい獲物の方へ行く。 自分の脚で追いつけないのであれば諦める。 代わりに仕留めやすい方へ向かう。





「しまった! あっちに行ってしまう、先回りするしかない!」





巨人を引き離すつもりが再度対峙する。





「ナンダ? クワレニキタ… ノカ?」





ヴォルフに向けて巨腕を振るうがサッと躱しヴォルフの爪が逆にヒットする。





「イテェ……」





巨人の腕から血が流れる。 ミロクは行けるかもしれないと思った、怖い相手だけどヴォルフの速さならこの巨人を倒せるかもしれないと。 ヴォルフの攻撃は通用する、相手に捕まらなければ勝てるかもしれないと。





巨人は傷付けられた腕を押さえる。





「ウデヲ…… オレノウデヲォォォオーーーーッ!!」





巨人が今までより速く動く、ヴォルフならそれでも余裕で回避出来たが僕達はそうもいかなかった。 





「ああッ!」

「きゃあッ!!」





僕とフィーは急な動きに振り落とされてしまった。 ヴォルフはそれに気付き僕達の前に立つ。





「ダメだヴォルフッ!!」




僕1人だけならば多分大丈夫。 僕の力の障壁を出せばなんとかなると思う、でもそれは僕だけにしか使えない、フィーを守ることもヴォルフを守ることもできない。





「ギャンッ!!」

「ヴォルフッ!!!」





巨人の体当たりを受けたヴォルフは吹っ飛んだ、急いで駆け寄ると片方の前足後ろ足が折れている、とても立てそうにもない。 しかしそれでもヴォルフは立とうとしてミロクとフィーを守ろうと動く。





「グハハハッ、デケェノ…… カレタ」

「やめろ! ヴォルフを離せ」

「ど、どうしよう…… このままじゃミロクとヴォルフが…」





ヴォルフは巨人に首を掴まれもがくがどうにも出来ない、ミロクが必死にヴォルフを助けようとしているがどうにも出来ない、ヴォルフが食われる、そう思った時だった。





「俺の家族に近付くな化け物」





巨人の腕が大きく弾けヴォルフが手から離される。





「父様ッ!!」

「ムアム……」





これまでにない力の本流が身体に渦巻いたムアムが居た。






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