表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/27

2


「うわぁー、すっごくおっきいねぇ!! 大きなツノ生えてる鹿より全然大きい! それに白い毛なんだね」

「うん! ヴォルフ凄いでしょ」





翌日、約束通りにミロクを待っていたフィーを森の洞窟に連れて来た。





「それにお利口さんなんだね! 他の動物となんだか違う」

「だって僕を育ててくれたからねヴォルフは」

「へぇ……」





不思議な狼だなぁとフィーはヴォルフを見詰める。





「はいフィー、これ食べる?」





僕が採ってきた木の実とヴォルフが狩りをして仕留めた肉を干し肉にしたものを振る舞った。





「わッ! いいの? ミロクとヴォルフしか居ないのに食糧取るの大変でしょ?」

「大丈夫だよ、ヴォルフは狩りとっても上手いし僕も食べられる木の実とか草とかなんとなくわかるからさ、なんとでもなるんだ」

「やっぱりお利口さんなんだねヴォルフは。 それに普段では他の動物って怖いけどヴォルフは可愛いし! 大きいけど」





フィーはヴォルフを気に入りヴォルフも極めて友好的な態度だったのでほんわかした雰囲気になった。





「そうだ! ミロクもフィー達の村に遊びに来てみない? 父様もね、狩りの時ミロクとお喋りしてたのチラッと見てて知ってるしさ!」

「え、そうだったの? じゃあ遊びに行ってみたいな」





そんな調子で次の日フィーの村に向かった。 流石にヴォルフを連れて行くと大き過ぎて怖がらせるかもしれないと思い留守番してもらった。





「君がフィーの友達か」

「ミロクといいます」




フィーのお父さん…… やっぱり身体の周りから何か溢れてる気がする。 誰も、本人も気付いてないみたいだけど他のと違う。





しかし優しくて良いお父さんだった、まるでヴォルフみたいに感じる。





「洞窟に住んでるって大変だろう? いつでもここに来ていいからね」

「ミロク、こっちにはね長が住んでるの」

「長?」

「長というのはこの村を統べる族長のことだ。 様々な予言や世の理を教えてくれるなくてはならない存在だ、会ってみるかい?」





フィーの父がそう言うとミロク自身も話を聞いて会ってみたいと思ったので顔合わせをしてみることに……





「ううむ、不思議だ」




ミロクを見て長は呟く。





「長よ、どうしたのだ?」

「うむ、わしは普通であればその人の成すべきことがぼんやりと見える。 しかしこの者からは何も感じることが出来ん」

「え? それって僕は何も出来ないってこと?」

「いいや、そういうわけではない。 そういう者もおるということだけ、おぬしの進むべき道が黒く閉ざされていてわしには見えんというだけだ」





長という老人の言葉にミロク自身よくわからなくて少しガッカリとした。





「なに、そういう者も居ると長も言っていたし気にすることはない。 気を取り直して村で遊んでいくと良い」





ミロクはそれから村に出入りすることになった。 同年代の子供がフィー以外にも居たしミロクにとってもいい遊び場だった。 長や村の人達も快く迎えてくれた。





そうして月日は流れていきミロクは15歳となった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ