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ダーリン  作者: 遠藤 敦子
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 そういうわけで私は3月末で居酒屋でのアルバイトを辞めることになった。4月からキャラクターグッズショップの正社員として働くためだ。パートから正社員になり、業務内容も責任も変わるので新入社員たちと一緒に同じ研修を受けた。そこで新入社員の飯岡(めしおか)大翔(ひろと)と仲良くなったけれど、同い年だと判明して一気に距離が縮まる。

 その後は何回か2人で遊びに行き、大翔に告白されて付き合い始めた。お互い配属店舗は違ったけれど、休みが合えばデートしていたし、仕事終わりにご飯を食べに行ったこともある。大翔はよく

「俺、販売とか接客向いてないかも……」

 と言っていたけれど、私は大翔の明るくて太陽みたいな性格が好きだったし尊敬もしていた。


 付き合って半年が経ち、私たちはコスモス畑に行く。そこで大翔が指輪を出し、

「結婚しよう。お互い23歳でまだ早いかもしれないけど、咲空を幸せにする」

 とプロポーズしてくれた。太陽みたいな存在でみんなの中心にいる大翔がまさか私を選んでくれるなんて思っていなかったので、心の底から嬉しかったのだ。

「え、嘘、私で良いの?」

 と大翔に訊くと、大翔は

「咲空がいいんだ。俺の奥さんは咲空しかいないから」

 と言ってくれた。私「が」いいと言ってくれて嬉しかった。


 それから私と大翔はとんとん拍子に入籍する。結婚して私は清家咲空から飯岡咲空になった。結婚してからも毎日が幸せで、この幸せが壊れてしまうのが怖いほどだ。それからしばらくして私は女の子を妊娠したけれど、つわりで何度も仕事を休んでいたことで申し訳なさが強かった。結局私は仕事を辞め、専業主婦になる。

 結婚して1年が経った24歳の頃、私は娘の心菜(ここな)を出産した。心菜が生まれて3人家族になる。これからは3人で幸せに過ごそうと決めた。



 翌年、私と大翔は心菜を連れてプロポーズされたコスモス畑に行く。私はこの場所に心菜を連れて来られて感動していた。

「ここに3人で来られてなんか感動する」

 私が言うと、大翔は

「じゃあ心菜と写真撮ろうか?」

 とiPhoneをカバンから取り出す。私は右手で心菜を抱き、左手でピースサインを作った。実は私のスカートと心菜のワンピースは私が同じ布で手作りしたので、それを着て写真に残せたのが嬉しかったのだ。その写真はいま大翔のiPhoneのロック画面になっており、飯岡家のリビングにも飾られている。

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