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ダーリン  作者: 遠藤 敦子
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「おーい、無視ですか」「見てるんなら早く返事しろ」

 といった返信を催促するような内容から始まり、どんどん

「おい、しばくぞ」「返事しろやバーカ」

 などと暴言も吐かれるようになる。最終的には

「返信しないと嫁にお前と不倫してるって言うよ? そうなったら俺もお前も全て失うけどいい?」

 と脅迫めいた内容が送られてくるようになった。付き合ってもいないのに、なぜか彼の中では私と彼が付き合っていることになっているのだ。

「そもそも私たちは付き合ってないですし、業務に関係ないLINEは控えてほしいって前に言いましたよね?」

 私はこう返信し、返信が来ているか見るのも怖かったので後はそのまま放置した。明日会社で何を言われるのだろうと不安だった。まずは人事に相談しようと決める。


 翌日、出勤するなり私は人事部のデスクに相談があると駆け込んだ。そのまま人事部の数人と会議室に行き、私は今までのことをLINEも見せながら話す。意外なことに人事部長は

「清家さんは社会人になってまだ浅いからわからないだろうけど、彼も激務でストレス溜まってて大変だから大目に見てあげて」

 と的外れなことを言っていた。若い女の子は大変だね、とも。私はもうこの会社には期待できないし、何を言っても無駄だと思うようになってしまった。会議室から出てきた頃、遠くであの先輩が出勤してきているのが見える。目の前が真っ暗になり、その場から動けなくなった。

 次に目が覚めた時、私は病院のベッドにいた。会社で倒れて救急搬送されたらしい。検査しても異常はなく、会社から離れると調子が良かったのもあり、私は適応障害と診断された。結局は3ヶ月間休職し、そのまま復職せずに退職してしまったのだ。退職したのは社会人2年目の9月のことだった。



 いきなりまた正社員として働くのは不安だったので、まずはアルバイトから始める。日中はキャラクターグッズショップでレジ打ちや商品の品出しを行い、夜は居酒屋でもアルバイトをした。いずれもそのうち正社員の仕事が見つかるまでの繋ぎという条件で入り、了承してもらっている。

 どの職場の同僚も良い人や優しい人ばかりで、新卒で入った会社のようにセクハラする人やパワハラする人は誰もいなかった。私はこんなに働きやすい場所もあるのだと感動する。最初は繋ぎのつもりで入ったアルバイト先だけれど、キャラクターグッズショップにて巡回に来たマネージャーから

「清家さんよく頑張ってくれてるし、4月から社員にならない?」

 と声をかけられた。私はこれを快諾し、正社員の仕事が決まる。

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