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「理枝ちゃん」こと魚住理枝には、私も英語を教えてもらったことがある。そんな理枝ちゃんはトップクラスの優等生なので、私も尊敬していた。「生方くん」こと生方健吾はテニスの全国大会で忙しくしており、一時期あまり授業にも出なくなったことがある。2年生から違うクラスになり会わなくなったけれど、そんな彼はいまMARCHに進学したという。
「和佳ちゃん」こと友野和佳は、高校2年生まで同じクラスで仲良くしていた。和佳ちゃんには中学生の妹が2人いたこともあり、「親に負担をかけたくなくて、高校卒業後は就職したい」と言っていたのが印象的だ。販売職に就きたいと言っていたので、雑貨屋さんで働いていると知り私も安心した。
「それで、樹く……あ、今村くんはいまどうしてるの?」
樹くんの近況が気になり、私は思わず友美に訊いてしまう。実は今でも未練があるとは言えないけれど。
「咲空と今村くん付き合ってたもんね……。別れたって聞いた時はびっくりしたけど。今村くんは飲み会で知り合った19歳の子に子どもできて、責任とって結婚したらしいよ」
友美は樹くんの現在の状況を教えてくれた。別の女性との間に子どもができて結婚したということを知り、私はショックを受け、頭が真っ白になる。
「……ちょっと、咲空? 大丈夫? どうした?」
2人に声をかけられて私はハッとした。このままじゃ心の内がバレてしまうと思ったのだ。そこで
「実は私、喧嘩別れしてから樹くんのこと引きずってたんだけど……。結婚してるならもう諦めることにする」
と正直に話す。友美は「確かに咲空、今村くんに未練ありそうな感じがした」と言っていた。私はもう樹くんのことは諦めようと、樹くんを引きずっていた気持ちに蓋をする。
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私は専門学校を卒業し、社会人になった。新卒で入社した会社はかなりのブラック企業で毎日が激務だ。セクハラやパワハラも横行しており、先輩は社長に理不尽な内容で公衆の面前で怒鳴られていた。
私は妻子持ちの30代半ばの先輩から「さらちゃん彼氏いるの?」「俺まじでさらちゃんのこと好きすぎてやばいわ」「俺はさらちゃんと付き合ったら大事にするけどな」などと何度も夜遅くにLINEを送られたことがある。私が「業務に関係ないLINEは控えていただけますか」と返信してもなお、改善されなかった。それからは既読もつけずに放置していたのだけれど、放置すると次はどんどん暴言を吐くようなLINEが送られてくるようになる。




