表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダーリン  作者: 遠藤 敦子
3/5

3

 「理枝ちゃん」こと魚住(うおずみ)理枝(りえ)には、私も英語を教えてもらったことがある。そんな理枝ちゃんはトップクラスの優等生なので、私も尊敬していた。「生方くん」こと生方(うぶかた)健吾(けんご)はテニスの全国大会で忙しくしており、一時期あまり授業にも出なくなったことがある。2年生から違うクラスになり会わなくなったけれど、そんな彼はいまMARCHに進学したという。

 「和佳ちゃん」こと友野(ともの)和佳(わか)は、高校2年生まで同じクラスで仲良くしていた。和佳ちゃんには中学生の妹が2人いたこともあり、「親に負担をかけたくなくて、高校卒業後は就職したい」と言っていたのが印象的だ。販売職に就きたいと言っていたので、雑貨屋さんで働いていると知り私も安心した。


「それで、樹く……あ、今村くんはいまどうしてるの?」

 樹くんの近況が気になり、私は思わず友美に訊いてしまう。実は今でも未練があるとは言えないけれど。

「咲空と今村くん付き合ってたもんね……。別れたって聞いた時はびっくりしたけど。今村くんは飲み会で知り合った19歳の子に子どもできて、責任とって結婚したらしいよ」

 友美は樹くんの現在の状況を教えてくれた。別の女性との間に子どもができて結婚したということを知り、私はショックを受け、頭が真っ白になる。

「……ちょっと、咲空? 大丈夫? どうした?」

 2人に声をかけられて私はハッとした。このままじゃ心の内がバレてしまうと思ったのだ。そこで

「実は私、喧嘩別れしてから樹くんのこと引きずってたんだけど……。結婚してるならもう諦めることにする」

 と正直に話す。友美は「確かに咲空、今村くんに未練ありそうな感じがした」と言っていた。私はもう樹くんのことは諦めようと、樹くんを引きずっていた気持ちに蓋をする。



 私は専門学校を卒業し、社会人になった。新卒で入社した会社はかなりのブラック企業で毎日が激務だ。セクハラやパワハラも横行しており、先輩は社長に理不尽な内容で公衆の面前で怒鳴られていた。

 私は妻子持ちの30代半ばの先輩から「さらちゃん彼氏いるの?」「俺まじでさらちゃんのこと好きすぎてやばいわ」「俺はさらちゃんと付き合ったら大事にするけどな」などと何度も夜遅くにLINEを送られたことがある。私が「業務に関係ないLINEは控えていただけますか」と返信してもなお、改善されなかった。それからは既読もつけずに放置していたのだけれど、放置すると次はどんどん暴言を吐くようなLINEが送られてくるようになる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ