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ダーリン  作者: 遠藤 敦子
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清家(せいけ)さんのことが好きです。付き合ってください」

 高校生の頃、私は隣のクラスの今村(いまむら)(いつき)に告白された。私も人気者でみんなの中心にいる彼のことが気になっていたのもあり、告白を受け入れて付き合い始める。私は樹くんと呼び、彼は私を咲空(さら)と呼ぶようになった。

 樹くんは私にとって人生で初の彼氏であり、樹くんも私が初めての彼女だった。手を繋ぐのもキスするのもお互いが初めてーーお互い高校生で責任が取れないので肉体関係はなしーーの相手なので、特別だったのだ。


 しかし付き合い始めて3ヶ月後、私たちは些細なことで喧嘩になる。一緒にいた時に樹くんのスマートフォンに女の子からのLINEの通知(内容は「文化祭で男子はメイド服、女子は執事っぽくする?」という文化祭でのコスプレについての相談で、決してやましい内容ではなかった)が来たのを見てしまい、私が

「なんで女の子とLINEしてるの?」

 と問い詰めてしまったことがきっかけだった。

「別に後ろめたい内容じゃないし、文化祭の相談することすらダメなの?」

 樹くんは不満そうに言い、それから売り言葉に買い言葉で口喧嘩になる。最終的に私が

「もういい! 別れよう」

 と言ってしまい、そのまま別れてしまう。別れてからも、私と樹くんはクラスが一緒になることはなかった。そういうわけで顔を合わせなくて済んだのだ。それは不幸中の幸いとはいえ、私はずっと樹くんに言ってしまった言葉について後悔していた。本気で別れるつもりで言ったのではなくて、喧嘩している時に勢いで言ってしまったから。


 高校を卒業し、私は専門学校に進学する。高校卒業しても成人してもなお、私は樹くんのことをずっと引きずっていた。なんならまた付き合えるかもなんて思っていた。私から連絡する勇気はなかったけれど、今からでも連絡してあの時のことを謝りたいと思っていたほどだ。

 その頃、私は高校時代の友人である松下(まつした)友美(ともみ)香坂(こうさか)沙織(さおり)と3人でランチに行くことになった。予約は友美がしてくれていたので、15分早く着いた私は先に2人を店内で待つことにする。

「12時半から3名で予約している、松下です」

 私が言うと、店員さんが先にテーブルに通してくれた。沙織はあと10分くらいで着くそうだけれど、友美は電車が遅延してしまい15分ほど遅れて着くとのことだ。店で待ってると2人にLINEして、私は店内でボーっと座って待っていた。隣のテーブルの会話内容がなかなかだったので、思わず耳をダンボのように大きくして聞いてしまったのだ。

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