第6話:2123年の空
2123年1月1日、いるか君は空を見上げていた。90年前の富士山噴火で火山灰が関東以東へ大量に降灰して、大気圏付近にも火山灰が浮遊していて、未だに夕焼けが真っ赤に染まっている。
子供の名前は、当て字が禁止され、動物や植物の名前が流行っている。
いるか君の両親は、大昔のグループサウンズのファンだったと聞いた。
この100年で、世界的人口増加と気候変動による食糧不足。戦争と対立は無くなっていない。
製薬会社の権力により、政権は生物過保護政策となり、環境負荷が減った動物は長生きするが、ウイルスなどへの耐性が落ち、世界的交流から、パンデミックは毎年発生し、ワクチン依存症と、ワクチン後遺症で、日本の人口減少が加速した。
これら災害とパンデミックから、食糧不足と人口減少、都市のインフラ維持が問題となり、東京は都市機能の集団移転を推進して、郊外の廃墟化
ドーナツ現象となった。
先進国では、農業労働者や、運転手、医師の7割が移住した移民で成り立っている。
大量生産は終わりつつあり、技術革新による少量生産と地産地消への転換が起こった。
旅行は、短期ツーリズムから、長期で世界を回る遊牧民的ツーリズムがブームとなり、国境も政治と税制の枠でしか無くなった。
通貨の発行数を国で制御出来なくなる電子通貨の勝利が明らかとなり、国家間の差は、GDP若者の数による比例的状況となった。
幼児教育と貧困撲滅による、宗教によらない世界統一モラルの普及は、日本人女性大統領の 楓 氏の功績であり、生物名が流行った理由でもある。
100年経過しても、地域紛争と小規模テロ、差別、いじめ、ハラスメントが無くならないのは、人間の本能的問題だと考えられている。
いるか君は100年前で言えば高校生、今では16年生。産まれて1年経過したら1年生となる。現役最高齢は90年生だ。一生勉強し、18年生で、昔で言えば消防団、今では災害救助防衛隊と言う名称の団体に国民全員が所属し、軍隊の予備役みたいな立場で、仕事をしながら勉強したりしている。
いるかは、Fチリタバコの生まれ変わりだった。未だにかすかな記憶があるが、夢なのか現実なのか、よくわからない。産まれた役割を与えられたが、忘れた。まあ、いいかと思った。