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天使・シンギュラリティ  作者: 愛川未来
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第5話:T死の間際

南アルプスでの滑落事故。落下の瞬間、走馬灯のように、過去がフラッシュバックした。

大工の父の勧めで、地元の工業高校を卒業して、横浜の大学へ進学した。東京の設計事務所を転々として、建築家のアトリエに就職した。

山とスキー、車が趣味で女性とは無縁の生活だった。シャイでお節介な性格で、福利厚生部長を名乗り、山やスキー、キャンプ、ドライブの企画を楽しんでいた。


1990年頃はバブルで、F1日本GPも開催され、仕事半分、遊び半分で、世の中もうかれていた。


イタリア車とフランス車が好きで、シャイなので、車で女性を釣ろうとしたが、だれも相手にしなかった。

よく壊れたので、送ってくよと言われても、押す羽目になってひんしゅくを買って、噂が広まってしまう。

パンダ4×4、シトロエンBXなどポンコツ人生だった。


F1のチケットを買って、皆を誘って行く。キャンプが出来る駐車場がコースに一番近いので、いつもそこを予約していた。


気になる女性を誘うが、来るのは男だけだ。


山もいい所を見せたくて、早く登ってしまう。女性は追いつけず、ヒンシュクを買うのである。チタンの鍋を担いで富士山に登って、スパゲッティを作って皆に振る舞った。自己満足だ。気になる女性は、途中で高山病になって下山してしまった。

見知らぬ女性にもスパゲッティを振る舞ったら、山友達になった。薫さんと言ったが、私生活は知らない。

後輩の奴と二人でイタリアからフランスをレンタカーで3300キロ走破した事がある。途中で軽油とハイオク間違えてどうなるかと思った。

途中で助けてくれたイタリア人はF1好きで、日本にも行った事あるグランデさんとか言っていた。

メキシコ、マチュピチュなどにも一人で行っていた。言葉も分からず苦労したが、自慢したかった。

次週のF1に皆を誘ってのこの事故。

今年は車屋さんにロータスエリーゼを輸入してもらい、普段使いにサーブの中古を買い、雪用にパジェロもあったので、ローンとかどうなるかな。


何で滑ったのか自分でも分からない。明るい光だけしか無い世界で、ヘリの音が遠ざかる。

魂の場所へ加速して移動する感じで、懐かしい場所に来た。

頑張ったねと、意識から通知のようなお知らせが頭の中に来た。

使命を持って産まれたのを思い出したが、何だか忘れた。光にまた包まれ、瞬間的に移動して行く。次は何処へ?


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