三人の成長
アツシとタクトとマサの三人で戦闘訓練と、夜間のモンスターの迎撃が始まった。アツシとタクトは、いやいやながら参加していた。しかし金のためだと割り切って、乗り切ることにした。
だがやっているうちに、楽しさも見出すことができるようになってきた。村の人々から称賛されて、食事を奢ってもらえるようにもなった。人々から疎まれ続け嫌悪される存在でしかなかった彼らにとっては、斬新な体験だった。
サキも励ましてくれた。手作りの料理を作って、励ましてくれた。
「辛いことも多いかと思いますが、あなたたちのお陰で随分と助かってます。モンスターのボスを倒すまで頑張って下さい」
この励ましも、アツシたちの心を刺激した。女の前でいい格好をしたい、女を守りたいという男の本能を直撃するものだった。
アツシは今まで見下していたマサが一歩先に行っていることを、面白くないと思っていた。しかしそんなことはどうでもよくなってきた。人のためになることをするのが、一番幸せなことじゃないのか。元の世界にいた自分は、ズレていて間違っていたと気づき始めた。
三人とも腕が上がってきて、これはモンスターのボスを倒すことも可能ではないかとトシのお墨付きをもらった。決行の日に備えて、村でありったけのポーションと薬草を用意した。
いよいよ決行の日となった。村中の人が見送りに出てきた。
「頑張ってきて下さい。ご武運を」
村長の声の元に三人は、送り出された。