4 青天の霹靂(1)
目が覚めると、もう朝になっていた。
ドレスもお化粧もそのままで寝てしまったらしく、ドレスはしわしわ、顔はカピカピと最悪な状態になっている。
(ドレス、型崩れしていないといいのだけれど………)
着るのは大変なドレスも脱ぐ時は一瞬。
少々雑に脱ぎ捨て、急いでお化粧を落とす。
肌は少し荒れていたが、後でスキンケアをすれば大丈夫……のはず!
…普通はメイドや侍女がやる仕事なのだろうけど、我が家には少し変わった決まりがあった。
今のわたくしのように部屋で謹慎するように言われると、食事を持ってくる以外のわたくしに関する仕事は一切しなくて良いのだ。
これは、父が考えた仕置の一つで『謹慎になるようなことを二度としないように』という思いが込められているらしい。
悪趣味ですこと、と父に蔑んだ目を向けていたのは、一体、誰だったのだろう。
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あのパーティーから、今日で一週間が経ったある日のこと。
メイドから、父が呼んでいると言われたので身なりを少し整えてから書斎に向かう。
何を言われるのかしら、
もしかして、お金持ちの狒々爺の後妻として嫁がされるのかしら、
それとも修道院に行かされるのかしら、
そんな良くない考えばかりが浮かんでは消えていく。
悪い方を考えてしまうのは、まだ婚約破棄が夢だったのではと期待する心もあるからか。
けれどそんなわたくしの考えは、お父様の一言で全部吹き飛ぶこととなる。
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『……エスメラルダ。お前と隣国の皇太子殿下との婚約が決まった。』
『……………はい?』