生徒会長選挙
十二月初旬。
胡桃は、相変わらず陽菜について、荷物を持つなど率先して動いている。
生徒会長が辞任を表明。臨時生徒会長選挙が実施されると発表された。
立候補を表明しているのは、同級生の一条羽菜のみ。他に立候補者が居なければ、無投票当選となる。
陽菜も、選挙が実施されていることを知ってはいる。けれど無関心。心の底から、〝勝手にやっていろ〟と思っている。
* * *
十二日間の選挙運動期間が終了。
即日、投開票が行われた。結果は、得票率八十三%で、結月陽菜が当選。
陽菜は、立候補していない。選挙運動もしていない。この結果は誤りであると、選挙委員会に申告する。
しかし、選挙委員会からは予想外の返答。
「推薦状が提出されていますので、正式な候補者です」
推薦者名は、縫胡桃。
推薦理由も記されている。
『今回の選挙の目的は、元・生徒会長の代わり決めること。陽菜はんは、中等部時代、二年連続で生徒会長しとったそう。二年生のとき元・生徒会長を破って当選。中等部を、恣意的な独裁支配から守ってくれた、言われとるのも耳にした。陽菜はんなら、絶対に学校を良うしてくれる』
「推薦者の縫さんは、結月さん自身が選挙活動をしていない理由を、生徒会の不正の後始末が大変だからと説明し、方々を回っていました」
名目上とはいえ、風紀委員長の陽菜。不正の後処理をしていたことは事実。
不正に基づく処分履歴を消去してもらえるよう、奔走していた。
「ご存知ないですか? となると、不正に」
「違います! 推薦状の提出が間に合わなかったと思っていたので、確認に来ただけです」