新生解決屋、初めての仕事!……其の2
解決屋は大変……
目的の時代に着いた2人、剛は楽しいアトラクションにでも行く様に、守人はテスト当日の様な、対照的な表情で2人出て行った。
「それで、何処に行けばいいんだ?……しかし、大分町並みが違うな……昔って感じだな?」
「30年以上も前だからな……さて、霧島航の所にまず行くか」
「おう、お供するぜ!」
何故か乗り乗りの剛では有るが、守人は特別気にする事もなく目的地に歩いて行った。剛はにこにこしながら着いて行く。
とある中学校に入って行く守人、剛も後を着いて入って行く。
「バッチ来い!」
「こっち来い!」
「ナイスピー!」
校庭では、野球部が練習していた。
(あれ?……あのピッチャー、何処かで……)
剛が怪訝そうな表情をする。
「分かった?あれが霧島航だよ」
「あ~、面影有るな!」
「さて、少し剛に手伝って貰うよ」
「おう、構わねぇけど……何やるんだ?」
「まあまあ、時期に分かるよ」
守人は野球部の方に行く。勿論剛も後を追う。
「すいません」
「はい、何か?」
「こちら中澤剛と言いまして、甲子園も出てるんですよ」
「そうなんですか?」
「え?まぁ、一応……」
「それで、少し練習を見てても……」
「構いませんよ、どうぞどうぞ!……集合~!」
監督が声を掛けると、野球部員は走って集まった。
「こちら、甲子園にも出た事の有る中澤さんだ!今日は、特別に指導して貰う」
『凄ぇ……お願いしま~す!』
全員が剛に頭を下げる。
「おい、守人……」
「頼むよ、剛」
「……しょうがない」
突然だが、剛は野球部の指導をする事になった。
剛は指導しながら、シートバッティングでは自らが打席に立った。霧島のボールを直接打った剛、
「もう少しテイクバックを大きくだな……もっとボールが生きるし、何より余裕が持てる。フォームはゆったりとだな」
剛のアドバイスで霧島のボールは更に良くなった。剛の意外な一面である。
野球部の練習が終わり、頭を下げてグラウンドから出て行く守人と剛。
「時間が有ったら、またお願いします」
監督から頭を下げられ、2人は軽く右手を上げて返した。
「剛、霧島はどうだ?」
「なかなかいいピッチャーだな。甲子園の後まで見えそうだ」
「そうか……なら、何であんな風になったかだな。さて、原因を突き止めるとするか」
「そうだな。しかし、普通に素直な中学生だったけどな?」
「この先に、何か有るんだろ。とりあえず、まずはそれを確認だ」
守人は足早に歩いて行き、剛はその後を追った。
暫く歩くと、町工場に着いた。
「……霧島工務店……ここって……」
「霧島航の家だ。問題はここだ」
「ここが問題?」
「そう、ここなんだ。さて、とりあえずは父親に会うか」
守人はそのまま、その工場に入って行った。勿論、剛も一緒である。近くの作業員に守人は声を掛け、社長を呼んで貰った。
「どうも、社長の霧島勲です」
「初めまして、戸張幸夫と申します。こっちは秘書の長澤」
「え?あ、あの……長澤です……」
「どうも……どういったご用件で?」
「実はですね、航君がなかなか優秀なピッチャーでして……」
「そうですか!いや~、うちは一家で野球好きでして!そうか~、航がね~!」
「それででしてね、是非に甲子園やプロ野球を目指して欲しく……」
「願ったり叶ったりですよ!」
「そこで、今後の事について何ですが……余り上手い話には注意して下さい。友達面した奴程、騙して来ますからね」
「それは……ちょっと失礼ではないですか?」
「確かにそう聞こえるかもしれませんが、私は仕事柄、そういった事例を多く解決してるんです。しかも、大体は取り返しが着かなくなっている」
「だからといって私が……」
「確かにそうですが、あなたの1番大切な物は何ですか?」
「私の大切な物?そりゃあ、家族に決まってるでしょう?」
「なら、騙されたと思って家族を第一に考えて下さい。それが、あなたが最善の道を選ぶ条件だ」
「……よく分かりませんが、あなたの目は本気の様だ……分かりました、肝に命じて置きます」
「はい、お願いします」
「あの~……航君は確かに凄い才能です。絶対に野球を続けさせて下さい」
「はい、それは勿論!」
守人と剛は、頭を下げて工場から去って行った。
地下室に向かう2人、
「これで、問題解決だな?」
「いや、これからが本番さ」
「これから?」
「不思議か?…いいか、1回くらい断られたって、騙す奴は何度でもやるんだぜ?……その物事態を失くさないと」
「その物事態……どういう事だ?」
「次の場所で分かるさ……少し大変かもな」
「所でだな、俺の長澤はどういう了見だ?」
「濁点変えただけ、何となくいけんだろ?」
「全然いけてねぇ!」
「本名って訳にはいかないんだ……野球の臨時コーチくらいなら大丈夫だけどな」
「……納得いかねぇが、納得しとく……それより、この問題を解決しないとな。報酬が高いからな、しょうがないよな?」
話しているうちに、目的の場所に着いた2人。
「よし、行くぞ」
「おう、どんと来い!」
2人は次の場所へタイムワープした。
地下室から出た守人と剛、守人はそのまま足早に歩き、剛は守人の後を着いて行く。
「何処に行くんだ?」
「着けば分かるさ」
珍しく守人の言葉が少ない。剛も自然と言葉が無くなっていた。
「ここだここ」
「ここ?……浜本組……これ……」
「おう、ヤクザだ。知ってたら、お前来ねぇだろ?」
「当たり前だ!」
『うるせぇ!』
「組の前で騒ぐな!」
「失せろ!」
「いや~、そうもいかないんですよ~……組長さん居ます?」
「組長に何の用だ?」
「大切な用事です。組に関わるくらい」
「本当か?」
「嘘じゃないだろうな?」
「当たり前ですよ!嘘なら、俺とこいつの命を上げますよ!」
「待て、守人……」
「おう、それならいいだろう」
「親父に会わせつてやる」
守人と剛は中に通された。
どうやら、この組と霧島航の未来とは、かなり関係が深い様である。もう少し付け加えるなら、この時代は霧島勲が中学生の頃である。いったいどんな事が関係しているのだろうか。
次は?