誰の為に鐘は鳴る!?……其の4
解決となりそうです。
現代に戻った守人と剛、そのまま事務所に向かった。事務所に入ると剛はコーヒーを入れ、2人はそのコーヒーを飲んだ。
「さて、どんな結果を出すのやらだな?」
「本当に……どんな結果になるのかな?」
「どうする?見に行くか?」
「そりゃあ……ここに依頼してないんじゃないのか?」
「その通り!頭が良くなったね?」
「おい!?……しかし、やっぱり気になるよな?」
「オフコース!よし、見に行こう」
「やっぱりそれがいい!」
という事で、守人と剛は安藤の所に向かう事にした。
事務所を出てすぐ、
「所で守人、安藤と奥さんはどうなったんだ?」
「結婚してはいる。まぁ、依頼の現況が起った直後という訳だけどな」
「依頼の現況?……何だそれ?」
「昔の男と何とかかんとかさ」
「……そうなると、何処に行くのがいいんだ?」
「まぁ、付いて来いよ。予定通りなら、面白い事になるからさ」
守人は少し、悪巧みをしている様な笑顔を見せる。それを見た剛、不安所か安心の表情を見せる。2人の信頼関係が伺える。
守人と剛の着いた先、とあるマンションに近い公園である。安藤が男と2人で立っている。
「ぴったりだな?」
「その様だ。静かにしてろよ」
「分かってるよ」
守人と剛、隠れてこのやり取りを見る事にした。
「あの~……用件は何ですか?あなたは誰ですか?」
「梓の旦那。これで、話は分かるかな?」
「梓の……そうですか。それで、話とは?」
「同窓会で、余計な話をしたみたいだが?」
「余計な話?……何の事ですか?」
「惚けるのか?梓に、気がある様な話をしたんじゃないのか?」
「……事実を話したまでで……」
「事実?……そう言って、何人の女性を食い物にして来たんだ?」
「……何を言っているのか……」
「惚けるのかね?一応、探偵に依頼して証拠も残ってるんだがね?」
「なっ!?……ど、どうしてそんな事?」
「梓を幸せにするのが、私の役目なんでね。我が儘で梓の人生を棒に振らせる訳にはいかない」
「……梓に言えば、梓は傷付きますよ?」
「それでも、私は側に居る。全てを受け止めて、私は梓と歩んで行く」
「……どうすれば、納得してくれますか?」
「梓にもう会わないで貰いたい。付け加えるなら、生き方を見詰め直して欲しい所だな」
「……後者は約束出来ませんが、梓とはもう会わない事にします。これで、話は終わりでいいですか?」
「約束を守って貰えるなら、私は構わないが?」
「……必ず、お守りします。誰にも話さないと約束して下さい」
「それは約束する」
男は安藤に頭を下げ、公園から出て行った。
「いや~、ばっちりですな?」
守人は隠れていた所から安藤の所へ歩きながら、大きな声で話し掛けた。
「守人、安藤さんが不思議そうな顔してるぞ?」
剛も後を付いて来ている。
「……あの~……あなた達は?」
「通りすがりの物好きさ!」
「俺は、天に愛されたギャンブラーね!」
「……愛されてねぇぞ?」
「気のせいだ」
「……して、何の用ですか?」
「そうさな~……明日は快晴ですかな?」
「天気予報を見ろよ」
「……私も、それがいいと思いますが?」
「いやいや、このままで快晴といきますか?」
「「このまま?」」
「梓さん以外の人が、騙される可能性が有る。心から快晴と言える日は来ますかな?」
「……確かにそうですが……」
「守人、約束が……」
「約束は、[話さない]事だろ?別に、話す事はないさ。忘れない様にメモを残して、つい警察署の前で落としてしまった!……なんてね?ほら、安藤さん慌て者だからさ~」
「あ~、確かに慌て者だね!」
「……お2人は、私の何を知ってるんですか?……しかし……それなら確かに……私は慌て者ですしね……ありがとうございます。これで、快晴は必ず来ると言い切れます!」
「うんうん、いい事だね。これ、後で使って」
守人は安藤に何かの予約券を渡した。
「これは?」
「この先の教会を押さえてある。梓さんと、結婚式をしてないんだろ?」
「どうしてそれを?」
「それはいいだろ?それより、これからは2人の幸せの為に全力疾走だな?」
「2人?」
「守人の言う通りさ。安藤さんが不幸せなら、梓さんも不幸せさ」
「……そうなりそうですね。でも、この予約券……」
「ポケットの中のお守りでいいぞ。その石なら、充分に交換価値が有る」
「これですか?」
安藤はポケットから直径2cm程の石を取り出す。キラキラと輝いており、とても綺麗である。
「海外旅行で、偶然見付けた物。あんたが何か有る時、いつも身に付けていたお守りだろ?」
「よく知ってますね~……しかし、これからはこれに頼らずに幸せを掴まないと!どうぞ、これをお譲り致します」
「交渉成立だな。では、幸せにな!」
「我々は、失礼します」
守人は右手を軽く上げ、剛は軽く頭を下げて安藤に背を向けた。
「ちょっと待って下さい!あなた達2人と、ずっと前にお会いした様な……」
「気のせいだろ?いくつだと思ってんだ?」
「我々は、初対面ですよ」
「……そうですよね?私より若いお2人が、ずっと昔に私に会うなんてね。どうやら、記憶が少し混乱したらしい。これ、ありがとうございました」
安藤は深々と頭を下げ、公園から出て行った。
「守人、解決だな?」
「……そうはいかん!」
「問題でも?」
「これな、ダイヤの原石なんだよ。高く売らないと」
「……がめついな~。折角綺麗に終わったのに……」
「誰かさんが、報酬をガッツリ貰うからだろ?予約代が結構掛かったから、下手に売ると給料無しだ!」
「何だと~?それは大変だ!高く売るぞ!」
「……お前の方ががめついぞ」
今回の依頼も、無事に解決である。鐘は安藤夫妻の為に鳴りそうである。
「お?800万になったぞ!」
「来た~!これで即決だ!」
守人と剛は興味は無さそうである。
次は、どんな依頼があるのやら……




