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俺が居ない俺の町……  作者: 澤田慶次
60/64

誰が為に鐘は鳴る!?……其の1

やっと連載再開……

仕事、変えようかな……

本日も剛は、守人に朝から絡んでいる。

「よし、オセロで勝負だ!」

「……リバーシな」

「まぁ、細かい事は気にするなよ。俺、得意じゃないし……」

「……得意な事で負けてるのに、苦手でやるのか?」

「もしかしたらが有るだろ?一流ギャンブラーとしてはだな……」

「誰が一流だ?」

「俺だよ俺!」

「……パチンコの勝敗は?」

「ギリギリ負けてる!」

「……本当にダメだな……」

このリバーシ対決だが、結局は守人の圧勝であった。


暫く、穏やかな時間が流れている。コーヒーを飲みながら、守人と剛はそれぞれパソコンを開いている。

[コンコン]

ノックされ、剛はドアを開ける。

「すいません、解決屋ですか?」

40代半ばの男性が立っている。お世話にも綺麗だとは言えない。

「はぁ、そうですけど……」

「解決して欲しい事が有るんだが……」

「……とりあえずは中へ……」

剛はテーブルに案内し、コーヒーを出した。

「すいません、実は……」

「あんたは幸せにはなれないぞ?本当の幸せは、手に入らない」

突然守人が喋り掛けた。

「……分かってますが……2人共に幸せになれないよりはいい……」

「本当にそれでいいのか?」

「いいも何も……今の俺じゃ、どうにも……」

「ちょ〜っと待った!話が見えん!」

剛が割って入って来た。

「剛〜、分かれよ」

「無理!」

「これだよ〜……安藤あんどうさん、話してやって」

「名前……」

「それはいいから、早く話してよ!俺はさ〜っぱり分からないんだからさ!」

「……良く分かりませんが………………


安藤あんどう海斗かいと、普通の工場勤務の男である。現在は42歳。安藤が28歳の時、とある女性に一目惚れした。その女性はとても優しく、思いやりの有る人間だった。安藤は何度も何度もアタックし、遂には付き合い結婚した。

結婚生活は上手く行っていた。周りから見てもそう思えた。安藤自体もそう感じていた。

そんな安藤の思いが違っていたのに気付いたのは、ほんの数年前である。安藤が40歳になった時、ふいに奥さんのアルバムを見てしまった。そのアルバムには、1人の男性の写真がかなり貼ってあった。気になった安藤、遂には奥さんに問いただしてしまう。

「……昔好きだった人」

「それだけか?」

「…………………………」

「答えろよ」

「……脈は無いって思ってたけど、この前同窓会で……タイミング合わなかったな〜……だって……」

「そうか……」

そこから、安藤は奥さんとすれ違う事が多くなった。どうにも、しっくり来ないのである。そのうち、安藤は奥さんが幸せでは無いと思う様になった。そうなると、仕事も上手くいかなくなってくる。結果、安藤は平社員となり、今現在に至るのである。


………………こんな感じです」

「は〜……昔の男に遠慮してね〜……」

「昔の男じゃない!あずさには、現在進行形なんだ!」

「……今の旦那はあなたでしょ?」

「だから!……だから解決して欲しいんです……生きてるのが辛くて……」

安藤は涙を流している。

「剛、自分の物差しで測るなよ」

「しかしさ〜、おかしくないか?」

「本人は、至って真面目なんだよ」

「それでもな〜……」

「所で、報酬は?」

「報酬は……これ、ロレックスの腕時計……ダメですか?」

「あんたが一生懸命に働いて買った時計だろ?」

「これを手放しても、梓には幸せになって欲しいんです」

「……まぁ、そんなに言うなら、それで手を打とう」

「本当ですか?」

「嘘付いて何の得が有るんだ?」

「それはそうですけど……」

「守人、どうすると解決なんだ?」

「それは〜……どうするといいんだ?」

「梓が幸せならば……」

「だそうだ。それじゃ、そういう事で」

「分かったけど……どうやって幸せかどうかを確かめるのさ?」

「そりゃ〜……どうすればいい?」

「梓が幸せだって言ってくれれば……」

「そうなんだって」

「……守人、意外とやる気無いだろ?」

「バレた?」

「その返し、全然やる気感じねぇもの!」

「だってさ〜、これだぜ?」

「分かるけどさ〜……」

「あの〜、解決してくれるんですよね?」

「おう、一応な」

「まぁ、ゆっくり待ってて下さい」

安藤は少し困惑した様な顔で、事務所から出て行った。

「さて、しょうがないからやるか?」

「……断れば良かったんじゃないか?」

「どうして?」

「絶対、自分だけで勘違いしてるだろ?」

「お〜!剛、正解!」

「おい、何でビックリしてんだよ?」

「だってさ〜、剛だぜ〜?」

「何だよその言い方?」

「まんまだな」

「おい!」

安藤の依頼は引き受けたみたいだが、2人共に乗り気ではない。どうも、安藤自身に問題が有る様である。

「解決するとして、まずは何処に行くんだ?」

「それだけどな〜……安藤がどうして、あんなに自信無いのか知りたくねぇか?」

「それは確かに……そこからにするか?」

「そうだな。あの卑屈さを改善しないと、何をやっても解決にならない気がする」

「そう考えると……かな〜り面倒だな?」

「だろ〜?厄介だよ〜……」

「何で引き受けたのさ?」

「自○したら、寝起き悪くなるだろ?」

「するの?」

「ああ、ほっといたらな」

「あちゃ〜……やるしかねぇな?」

「だろ?やる気出ねぇの分かるだろ?」

「おう、納得だ」

面倒な事は確かな様だが、今までに面倒じゃなかった依頼はない。今回も上手く解決……してくれる事を祈る。

ゆっくりとやっていきますね……

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― 新着の感想 ―
[良い点] この依頼は、意外と西田が一番解決しそうな…そんな気がします(笑)
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