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俺が居ない俺の町……  作者: 澤田慶次
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悲運のGK……其の4

解決も見えてきました。

地下室から出た3人、大分街並みが変わっている。

「あんたなら、見慣れた風景だろ?」

「……私の高校時代……」

「そう、高松にとっての最後の時代」

「高松の最後?」

「剛、高松は国体に出る。その後で、事故で……」

「事故を止めるんだな?」

「いや、事故は止められない。それより、国体自体を諦めて貰う」

「どうして?」

「色々有るのさ」

「……今は何時なの?」

「国体本戦の1ヶ月前。ここなら、ギリギリ助かる」

「本当に?」

「ああ」

「守人、どうしてギリギリなんだ?」

「まぁ、まずは本人に会いに行こう。どうせ、ジムでも行ってトレーニングをしてるさ」

守人は剛とアリスを急かす様に、その場から離れて行った。


とあるジムの前に着いた。丁度、高松がジムから出て来た。

「すいません」

「あれ?変わらないですね?」

「やっぱり覚えてますね?」

「まぁ、それなりですけどね……近くに公園が有ります。そこに行きましょう」

高松に言われ、公園に移動した。

「さて、何処から話そうかな?」

「話は大丈夫だと思いますよ。多分ですけど、あなた達は未来から来た……多分ですけどね」

「……何故にそう思う?」

「容姿が変わらないし、どうも私をいい方向に行かせ様としている」

「……守人、やっぱり勘がいいな?」

「そうだな」

「いやいや、だからと言って……」

「ストップ!……あなたなんでしょう?橘さん?」

「!?……勘違い……」

「残念ですが、私は意外に勘が鋭くてね。それに、面影バッチリ」

「……………………」

「しかし、私とそう大差ない橘さん……なかなかいい物ですね」

「なら、話は早いな。このままなら、お前死ぬぞ」

「……でしょうね」

「納得か?」

「自分の身体です。少しは分かっています」

「……今なら……」

「間に合った所で、私の生き方が変わってしまう。意味は無い」

「……康介さん、死んじゃうんだよ?」

「遅いか早いかの違いですよ」

「あの〜……怖くないんすか?」

「剛〜……」

「だってさ〜、池本さんもそうだったしさ〜」

「池本さん?まぁ、聞かなかった事にしますかね……死ぬのは怖いですよ。誰でも当たり前ではないですかね?」

「だったら……」

「でも、自分らしく生きてないのは死んでるのと同じです。私は、30歳を過ぎてから生きていない……やっと、自分らしく生きているんです」

「……私と会わなければ……」

「何を言っているんです?馬鹿になりましたか?あなたに会ったから、今の自分に戻れたんです。あなたが居たから、私は昔から進む事が出来たんです。変な言い方はしないで下さい」

「でも……私は康介さんと……」

「どうせ、私の過去の話を聞いて、ナーバスになったんでしょ?私は何も知らないってね?」

「図星」

「大正解」

「……それも有るけど……」

「自信を持ちなさい。私が今まで生きて来た中で、間違いなく1番愛してる人ですよ」

「!?」

「熱い告白だな」

「聞いてるこっちが恥ずかしくなるよ」

「うるさい!!……康介さん、そんな事……」

「言える訳ないでしょ?30歳近く離れてるのに。それに、やる事が有り過ぎて……一緒に居る事が叶わなそうですからね」

「康介さん……」

「まぁ、いいお土産が出来ました。橘さんの未来を見た訳ですからね」

「変わらなくていいのか?」

「言ったでしょ?意味は無いってね」

「……死を受け止めるんですか?」

「いや、最後まで足掻こうと思ってますよ。自分らしく、最後までね」

「康介さん、私……」

「胸を張って生きなさい。あなたが居たから、私が居たんです」

「……………………」

「しょうがないな〜……すいません、今から15年前のここから少し離れた川……確か〜……8月3日だったかな〜……」

「11時頃だろ?」

「よく分かってますね?」

「おう、これでも未来から来た男だからな」

「では、お願い致します」

「はいはい……あのさ、依頼料を貰いたいんだけど?」

「そうですね〜……これでいいですか?」

高松はポケットから指輪を出した。

「これは?」

「私がその昔に、チャンピオンズリーグを制覇した時にチームで作った物です。世界に20個だけの物です」

「よし、交渉成立だな」

「がめついな〜……」

「では、よろしくお願い致します。橘さん、お元気で」

高松は頭を下げて、その場から走って行ってしまった。


高松の依頼通りの時にタイムワープした3人、そのまま指定された場所に行った。そこには、小さな女の子が両親と川遊びをしていた。時間は10時45分、両親はバーベキューの用意を始める。

ほんの少しの事である。その両親が女の子から目を離した。そのほんの数秒、女の子は川に流されてしまった。気付いた両親、必死に女の子を追い掛ける。

[バシャーン!]

1人の男が川に飛び込んだ。そのまま女の子を助け、その男は女の子を抱えて川から上がる。

「すいません!」

「ありがとうございます!」

女の子の両親が男に近付く。

「しっかりと見ていて下さい。大事な物は、一瞬でなくなりますからね」

女の子は助けたい男にしがみついて泣いていた。

この光景を見ていた3人、

「……あれ、私だ……」

「そうなの?」

「そう、そして……助けたのは高松さ」

「おう?……確かに、あれは高松だ……」

「あんた、誰も知らない高松を知ってるんだよ。他人の為に簡単に命を張る高松をさ」

「康介さん……」

「付け加えるなら、高松はカナヅチだ。泳げんぞ」

「なぬ?」

「そうなの?」

「泳げない高松が命を賭けて守った命……それがあんただ」

「康介さん……」

アリスの目から涙が溢れていた。

「高松はあんたの幸せを願った。だから、あんたは幸せになる義務が有る。今のあんたなら、分かるよな?」

無言で頷くアリス、何か感じる所が有る様である。

「よし、特別だ。もう1つだけ立ち寄って、帰るとするぞ」

「何処に寄るんだ?」

「行けば分かるさ」

「……私、最後までしっかりと見届ける!」

「おう、それがいい」

どうやら、納得の解決になりそうである。

次回は解決!……だと思う……

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― 新着の感想 ―
[良い点] やはり池本さんと高松さんは似たところがありますね。 どのような解決を迎えるのか、見届ける必要がありますね。
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