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俺が居ない俺の町……  作者: 澤田慶次
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クリスマスに降る雪……其の3

今回は早い解決……なのかな?

守人と剛、茜を連れて地下室に向かった。

地下室に案内する2人、

「……やっぱり、怪しい所に……」

「あのねぇ……そんな簡単に、時空を超える訳にはいかないでしょ?」

「見付からない様に、コソッとだよね」

「あ〜……有名になれるのに?」

「なりたく無いよ」

「目立ちたくは無いの」

「へ〜、そうなんだ〜……」

何となく、茜は納得の様である。

守人は左の手袋を外した。手の甲に、レインボーに光る六芒星が浮かび上がる。

「凄〜い!物凄く綺麗!」

「……剛と違って、汚れて無いと感じるよ」

「凄〜い!連チャンしそう!」

「……真似ても可愛くないぞ」

「守人、もう少し優しさを持て!」

「……本当に、漫才師じゃないんですか?」

「「当たり前だ!」」

司との約束の時、クリスマスの日の20時に丘の上の教会を目指す事となった。


タイムワープが終わり、3人は外に出た。

「……(あんま)り変わらないね?」

「数年だからな」

「まぁ、変わらない事はいい事……も、有ると思うよ」

3人は教会を目指して歩いて行く。時間は19時を30分程過ぎている。丁度いい時間である。

「さて……もう1人にも協力願おうかな?」

「もう1人?」

「誰か他にも居るんですか?」

「居るさ、便利な奴がな……死神!」

「……私は便利屋じゃないですよ?」

守人の左隣から声がし、人の面を着けた死神が現れた。

「演出は頼むぞ」

「言うと思いましたよ~……しょうがない、乗り掛かった船です」

「どんなマジックを見せてくれるの?」

「剛君、マジックじゃないですよ」

「……私と司の為に、本当にすいません」

茜は死神に頭下げた。

「いやいや、私の仕事にも影響が有りますからね」

「とりあえずだな~、時間が迫ってるから急ぐぞ」

「おお、そうだな」

「はい、急ぎましょう」

「私は、先に……」

「お前もたまには走れ!」

「え~、疲れるんですよ?」

結局、死神も含めた4人は走って教会を目指した。


20時丁度、教会の前で司を待つ茜。守人と剛は隠れており、死神は姿を消していた。司がキョロキョロしながら、教会にやって来た。

「司!」

「うお!……茜……なのか?」

「何よ、忘れたの?」

「忘れる訳ねぇだろ!」

「だったら何?」

「いや……その……それより、一緒に街に出ようぜ」

「うん、行こう」

司は茜の手を引く様に、教会の敷地を出て行った。

「……付いて行くか?」

「しょうがないよな」

守人と剛、後を付けて行った。


司は茜と色々な所に行った。お洒落なレストランで夕食を食べ、デパートで司は茜に指輪を買った。普通に、ただのカップルである。

「楽しいな?」

「本当に?……私は楽しいけど」

「俺、こんなに楽しいのは久しぶりだ」

「良かった!」

「茜……このまま俺と……」

「その話は禁句!……まだ時間は有るから、一緒に楽しもう!」

茜は司の手を引いて、ゲームセンターに入って行った。

「……俺、考えたんだけど……」

「どうした?」

「何でむさい男とクリスマスに一緒なんだよ?」

「あのな~……剛、俺もそう思ってると思わないか?」

「……そうかもだけど……」

「たまにはいいじゃないか?」

「……そうしとく……」

剛は司と茜を見ていて、自分を不憫に思ったらしい。


司と茜は本当に楽しんだ。司は茜が亡くなって以来、こんなに楽しかった事は無かったのではないかと思うくらいである。それだけ、司は茜を大切に想っていた。

「司、教会に行こうか?」

「……来年にでも行けば……」

「ダメ……それはダメだよ……」

「でも……雪は降ってないし……」

「それでも……教会に戻ろう」

「……うん……」

司は少し項垂れる様に、茜と教会に向かって歩く。教会に着くまで、司は何度も[このまま一緒に……]と言おうとして言葉を飲んだ。茜が1番辛い、守人の言葉が司を止めていた。


教会に着いた2人、

「司……いよいよお別れだね?」

「……嫌だよ、お前と2度も別れるなんて……」

「しょうがないじゃない。でも……こうして会えたんだし……」

「お前はそれで良くても俺は……」

「いい訳無いでしょ!あなたは馬鹿なの?……私だって、このままずっとって思ってるんだよ?」

「だったら……」

「ダメ……また別れが来るから……だから、ここでお別れ……」

「別れなんて……」

「絶対来る!……しょうがないの……」

「茜……」

「それでも、司が私を想ってくれてて、私は幸せ!」

「……お前が居ないのに、どうして幸せなんだよ?」

「司が忘れないから!……知ってる?誰からも忘れ去られたら、本当に死んじゃうんだよ?」

「でもさ……でも、俺はお前と……」

「そこまで!……辛くなるじゃない……」

「茜……」

「私はさ、司と知り合えて幸せだった!……だから、最後まで笑顔で……私には、司の笑顔を守る事は出来なかったから……」

「茜……」

その時、丁度雪が降って来た。

「……雪……ホワイトクリスマスだね?」

「……ああ、ホワイトクリスマスだな」

「一緒に、この雪に願いをしようよ?」

「おう」

2人は揃って、教会の方に目を瞑って両手を合わせた。少しの時間が過ぎる。

「何をお願いしたの?」

「……茜を絶対に忘れない様に……茜は?」

「司が他の女性と幸せになれる様に!」

「馬鹿……」

「いいの!司の幸せが私の幸せだから!」

その時、強い風が吹いて雪が司の視界を遮った。次の瞬間、茜の姿は無かった。

「茜?」

「ありがとう司、じゃあね!」

「茜、待てよ茜!」

司の声だけが響いた。

「……茜…………ありがとう茜……俺は、前に進まないと……」

司は教会を見上げて、軽く微笑むと教会を後にした。


教会の裏、守人と剛が居る。司が教会を後にして数分後といった所である。守人と剛の前に、突然茜が姿を表した。その後すぐ、人の面を着けた死神も現れる。

「凄ぇな、おい!大イリュージョンだよ!」

「……剛君、私には種も仕掛けも有りませんよ?」

「種も仕掛けも分からなければ、それ程変わらないだろ?」

「流石は守人!その通り!」

「……私を何だと思ってるんですか?」

「便利屋!」

「マジシャン!」

「……怒りますよ?」

「……人がしんみりしてるのに、どうして漫才してるんですか?」

「「「漫才はしていない!!」」」

「……息ピッタリ……」

「さて、私は失礼しましょうかね」

「死神、雪もお前のサービスか?」

「さ~て、神のみぞ知る……ですかね?」

「お前も神だろ?」

「だ·か·ら、神のみぞ知るなんですよ!……では!」

死神の姿は消えた。

「さて、送るよ」

「はい、お願いします」

「茜さん、これからどうするの?」

「……私をこんなに想ってくれてる司と、目一杯幸せな時間を過ごします!」

「それがいい。それが1番だ」

「守人に同意見だね」

守人と剛は茜を元の時代に送り、解決となった。きっと、司は立ち直る事だろう。そして、そんな司の姿を茜は分かっているだろう。

やっぱり最後は締まりません……

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― 新着の感想 ―
[良い点] なかなか感動の話だったのが、解決屋らしく締まりませんでしたね(笑) 次はどんな依頼になることやら・・・。
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