表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が居ない俺の町……  作者: 澤田慶次
37/64

解決してはいけない依頼……其の1

変わった依頼なのかな?

剛は本日、守人に頼まれて買い物中である。頼まれた物は買い終わったのだが、

「バームクーヘンは食べたいだろ~、チョコパイも欲しいな~……ポテチも忘れちゃダメだしな~……全部買っちゃうか、守人の金だし!」

どうやら、剛の食べたい物も買うつもりの様である。決まった所で近くのスーパーに寄ろうと歩いていると、目の前で数人の男が1人の男に絡んでいた。その男は170cmくらいの身長であり、守人と同じくらいだと剛は感じた。

「おら、俺達にぶつかって挨拶無しか?」

「慰謝料寄越せ!」

「こっち来いよ!」

絡んでいる男は5人、その男達に連れられる様に、その男は路地裏に歩いて行った。それを目の当たりにした剛、少しの間フリーズしていた。

(あの男、何とも言えない雰囲気だったな………………あ、ヤバいぞ!)

剛は急いで、路地裏に走り出した。


路地裏に着いた剛、想像していた通りの結果となっていた様である。絡まれた1人を中心に、4人の男が倒れている。もう1人は、胸倉を掴まれて無理矢理半分起こされている状態である。

「や、辞め……」

[ゴギッ]

胸倉を掴まれている男が喋ろうとするのだが、胸倉を掴んでいる男は容赦なく右拳を叩き込む。

「お、俺達……」

[バキッ]

「ゆ、許し……」

[ゴギッ]

胸倉を掴まれている男、顔面血だらけである。

「辞めとけ、捕まるぞ!」

「止めないでくれる?……大丈夫、こいつ等は通報しない……歯向かうなら、一生を終えるだけだからな……」

剛の方を向いてそう言い放った男、恐ろしく冷たい目をしている。

「お前の人生も終わりそうだ。これ以上は見過ごせない」

剛はその男を抱き付く様に静止させ、5人の男達をその場から逃がした。

「へ~、俺の楽しみを奪うんだ?」

「これからの人生を守ってやったんだろ?」

「恩着せがましい奴……で、俺の相手をしてくれんの?」

「……破滅の未来しか思い浮かばん……とりあえずは付いて来い。その苛々くらいなら、解決出来るかもだ」

剛はその男に背を向け歩き出した。不思議な事に、その男は黙って剛の後を付いて行った。


事務所に戻った剛、

「ここだ、まぁ入れ」

「解決屋?……何やってんだ?」

「困ってる人を助ける仕事さ……多分だけどな」

言葉を掛けてからドアを開ける。

「剛~、面倒事を持って来るなよ~!」

「見過ごす訳にもいかねぇだろ?」

「見過ごせ見過ごせ、そんな甘ったれ」

「はぁ?俺が甘ったれだと~?」

「甘ったれじゃなかったら、ファザコンだな!」

「……殺してやろうか?」

「辞めとけ辞めとけ、どうせ口だけだ」

「舐めやがって……俺はな……」

「知ってるぞ。甲斐(かい)隼人(はやと)、ボクシングSバンダム級のOPBF(東洋太平洋)4位だ。甲斐(かい)拳人(けんと)の息子だろ?」

「何だ、知ってたのか?レジェンド甲斐の息子」

「黙れ!!その名前は出すな!!」

「うるせぇな~、聞こえてるよ」

「気に入らねぇ……やっぱり、ここで殺してやるよ!」

「だから、無理だっての!……14戦14勝10KO戦績見れば、世界ランカーでもおかしくないんだが……素行の悪さでチャンスを潰して、自分でケツも拭けねぇ半端者だ。口だけならただだが、男としての風格が落ちるぞ?」

「……言いたい事はそれだけか?……この世とおさらばさせて……」

「待った!……苛々解決の為に来たんだろ?やるなら、解決の後にしてくれ!」

「あら~、剛が珍しく正論を……しょうがねぇ、話を聞こうか?」

「素直にそうですかって言うと思ってんの?」

「暴れたって解決しねぇぞ?まぁ、話せ。これは命令だ」

「偉そうだな?」

「偉そうじゃない、偉いんだ」

「そこまで!話をしてくれ」

剛が仲裁し、とりあえずは話を聞く事になった。

「……そんなに複雑じゃねぇ。親父が嫌いなんだ、八百長やりやがってよ……あんな奴、生きてる価値がねぇ!」

「……本当にそうなのか?確認したのか?」

「昴叔父さんは優しいから、敢えて本当の事は言わないんだよ!……ビデオで見たけど、昴叔父さんは親父のパンチを貰う時、確かに笑ってたんだ……親父の奴、昴叔父さんの弱味を握ってたんだよ!」

「捻くれてるね~……それでも負け無しなんだから、才能は有るんだろうな~……」

「だろ?才能はピカイチだと俺も思うんだ!」

「……話は聞いてるのか?」

「おう、聞いたぞ。詰まる所、嫉妬という所か?」

「どうしてそうなるんだ?」

「甲斐拳人、相手にしてくれねぇんだろ?」

「……別に、相手にされたくねぇけどな!」

「守人、どうにかならんか?」

「まぁ、引き受けよう……おい、報酬は?」

「金取るのか?」

「当たり前だ。ただ働きはしない!」

「がめついな~……いくらだ?」

「金は受け取らん」

「……何ならいいんだよ?」

「価値の有る代物だな」

隼人はポケットから金メダルを出した。拳人がオリンピックで獲得した、本物の代物である。

「おう……オリンピックの金メダル……どうして……」

「売ろうと思って、とりあえず持って来たんだ」

「許可は……」

「剛、こいつがそんなの取る訳ねぇだろ?」

「……盗品か?」

「大丈夫だよ、あの馬鹿は興味ねぇからよ!そもそも、プラモデルと一緒に押し入れの中だからな」

「……どうする、守人?」

「勿論契約成立だ!大船に乗ったつもりでいてくれたまえ!」

「おい、守人!」

「うんうん、これは価値が有る」

「なら、引き受けてくれるんだな?依頼は……馬鹿親父に後悔させてくれ。出来れば、息の根も止めて欲しいんだがな?」

「物騒だな~……後悔はさせてやるさ。後は、お前がどう受け取るかだ」

「納得いかなかったら、お前を殺すからな!」

「はいはい、お好きにどうぞ」

隼人は話が終わると、事務所から出て行った。

「守人、物凄く問題児だな?」

「ああ、全くだ」

「で、どうするんだ?」

「協力者を頼もう」

「宛は有るのか?」

「おう、とびっきりの人がね!」

守人の顔が少し輝いている。今まで見た事のない笑顔である。この面倒な依頼、どう解決となるのか。

危険な人物……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 伝説級の問題児がいよいよ登場ですね! どんな協力者がくるのか、楽しみ。。 もう一人のレジェンドかな!?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ