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俺が居ない俺の町……  作者: 澤田慶次
31/64

日本を変えろ!坂本竜馬暗殺阻止!……其の5

解決の時……

現代に戻った守人と剛、そのまま事務所に向かった。守人は坂本竜馬の愛刀をギターケースに入れ、そのまま事務所に運んだ。

事務所に着くと、剛がコーヒーを入れた。

「……しかし、事実は小説より奇なり……だな?」

「案外、歴史なんてこんな物かもしれんぞ?」

「結局、歴史上では坂本竜馬は死んだ事になってるもんな~……」

「そうそう、歴史は変わらんのさ……」

守人はパソコンを打ち出した。インターネットで何やらやっているが、とあるページを出すと剛の方に向けた。

「これも、そうそう変わらんかったな」


土方歳三


新撰組の鬼の副長と恐れられた人物。

幕府最後の時も、第一線で戦い続けた伝説の武士。

戊辰戦争で最早最後と悟った時、[誠]一文字の羽織を羽織って鉄砲隊に突撃したのは余りにも有名である。

最後まで武士として、義を重んじ義に尽くした男である。


「土方歳三、最後まで立派な武士だったな?」

「ああ、坂本竜馬が最後まで気にしていた人物だけあるな?」


[トントン]


ドアがノックされ、中年より少し老けた男が入って来た。

「依頼は果たされたな?」

「何の用だよ?」

「そう嫌うな、報酬を持って来た」

「……もしかして、盛時さんですか?」

「違う違う、盛時は偽名だ。本名は(とき)正治(まさはる)、俺の親父だよ」

「はい?親父だと~?」

「ど~も、息子がいつも世話になってます」

「いやいや……え?本当に?」

「親父、今回の依頼の説明」

「そうだね……剛君、歴史がいつも正しい訳ではない。思いもよらない事も有るし、それを踏まえて依頼を解決しないといけない。今回の事、少しは勉強になったかい?」

「そりゃあ勿論……え?それだけの為に?」

「時一族と関わるって事は、歴史的にも重大な事に関わる事も有る……その事を、身を持って経験して欲しかったんだ」

「はい、肝に命じておきます」

「それより親父、報酬」

「がめついな~、誰に似たんだか……」

「間違いなく、お前だよ!」

正治は、紙袋を守人に渡した。守人は紙袋の中を確認する。

「確かに……剛、これ」

「おう……しかし珍しいな?金を受け取るのか?」

「今回の依頼は特別さ。そもそも、報酬は前金だからな」

「おお、確かに!……まぁ、俺は報酬を貰えればいいんだけどな!」

「これだよ……」

剛はお金を見て、顔がにやけていた。

「剛、暫く留守番お願いな」

「はいよ!」

「親父、外に行くか?」

「そうだな」

守人は事務所を剛に任せ、正治と外に出た。


近くの公園、ジュースを正治に渡してベンチに座る守人。正治も隣に座る。

「親父、何しに来た?」

「……なかなか、運命って奴が変わらなくてな」

「そうか……やっぱり難しいのか……」

「まだまだ時間は有る……もう少し、頑張ってみるさ」

「……大変なら言えよ。俺も出来るだけ……」

「いや、お前は今を大切にしなさい。やっと、大切なパートナーが出来たんじゃないか?」

「……剛はいい奴だよ……馬鹿が付くくらい、真っ直ぐで素直で……今の時間は、確かに俺には宝物だ……」

「そうだな……この時間が、失われない様に……俺もまだまだ頑張らにゃだな?」

「おう、頼むぞ」

守人はベンチから立ち上がり、正治に軽く右手を上げて去って行った。


事務所に戻った守人、

「剛、パチスロ行こうぜ」

「お?珍しいな?……どうした?」

「いや、たまには賭け事もいいかと思ってな」

「よし、それなら俺が案内してやるよ!今日は新台入る所が有るんだよ~!」

「……よし、差枚数で負けた方が夕飯奢りな!」

「いいのか~?俺の趣味はパチスロだぞ~?」

「負けてばっかりだろ?」

「冗談はよしてくれ!3回に1回くらいは勝つ!」

「……負け越しじゃねぇか?」

「収支なら……少~し負けてる」

「……お前、パチスロ辞めれば金が貯まるんじゃないの?」

「それを言っちゃあおしめぇよ!」

「……何時の時代の人間だよ……」

「とりあえず、すぐに出発だ!」

「コーヒー飲んでからで良くないか?」

「馬鹿!新台は待ってくれねぇんだ!」

「……どうせ、今からじゃ空いてねぇよ」

「分からないだろ~?大体な~……」

「何だよ?」

「パチスロに対して失礼だろ?」

「……失礼とか有んの?」

「有る!!……パチスロの神様が見てるぞ!」

「……聞いた事のねぇ神様だな?」

「お前の負けだな!神様を信じねぇ奴は、絶対勝てねぇ!」

「……それで、お前の戦績?」

「少~し負けてる」

「……信憑性のない話だな……」

「まあまあまあ、それより行くぞ!」

「おい、待てって!」

剛は勢いよく事務所を飛び出し、守人は事務所に鍵を掛けてから剛を追い掛けた。


パチンコ屋に着いた2人、そのままスロットコーナーに移動する。とりあえずは新台を確認したが、すでに埋まっている。剛の進めで違う台に守人は案内され、本日はこのままスロットで1日が終了する。

守人からスロットを誘う事は珍しい。少なくとも、今までは無かった。今回の依頼があり父親の正治と話をした事で、守人の中で何かが少し変わったのかもしれない。正治と話した事が、何か重大な事に繋がらなければと思うばかりである。

「おい剛、何だか終わらねぇんだけど……」

「待て待て!何引いた?」

「……台が止まった」

「フリーズかよ~……クソ、負けねぇからな!」

数時間後…………

「……守人、夕飯奢るのは後日でいいか?」

「構わんが、どうした?」

「……持って来た5万円が消えた……」

「……才能ねぇんじゃねぇのか?」

剛は5万円負け、守人は7万円の勝ちであった。剛、残念な男である。

「……紙一重だったな……」

「……掛ける言葉が見付からんな」

剛の一言に、呆れる守人であった。

……剛、堅物の設定じゃなかったっけ?……

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― 新着の感想 ―
[良い点] なかなかいつもとは違う一面がみれましたね。 果たして次はどんな案件がやってくるのやら。。
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