表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が居ない俺の町……  作者: 澤田慶次
30/64

日本を変えろ!坂本竜馬暗殺阻止!……其の4

幕末、どんな時代なのか……

勝海舟と呼ばれた男はにっこりと笑い、坂本竜馬の声と口調で話し掛けて来た。

「何処で分かっちょうた?」

「竜さんは、俺を守人殿とは言わないさ……最も、何処かよそよそしいのも気になってたがね」

「……どういう事だ?」

「剛、少し待て……分かって来るさ」

「お、おう……」

「所で竜さん、これが考えてた作戦か?」

「そうじゃき!これが、儂の作戦じゃ!」

「……見返りは?」

「一族の保証……男と男の約束ぜよ」

「……そうか……」

「しかし、問題が残うちょる……土方しゃんの事じゃき……」

「そうか、新撰組とは面識有るんだな?」

「そうじゃき……土方しゃんは、儂と同じで器用じゃなか……きっと、武士として、新撰組としての人生を全うするつもりじゃき……土方しゃんと新撰組……せめて、その生き様は全うさせたい所じゃき……」

「……伝言、伝えてやろうか?あっちの坂本竜馬、京都に行くんだろ?」

「守人が伝えてくれると?」

「報酬次第さ」

「……この刀でどうね?……儂が長年連れ添うた愛刀じゃき」

「……それ程、新撰組と土方歳三は大切かね?」

「大切じゃ!道こそ違え、その心意気や凄か物じゃ!……尊敬ばしちょる」

「……いいだろう。その依頼、しかと引き受けた。あっちの竜馬の出発の時、俺達も一緒に頼む」

「分かったぜよ……出発は明日じゃき、今日はゆっくりしてきんしゃい」

「1つ質問だが……中岡慎太郎はどうしてだ?」

「……おんし達の他となると、中岡しゃんば1番危のうごじゃる……身を切る思いじゃが、失敗は許されんぜよ」

「……全ては新時代の為……かな?」

「……本来なら、誰よりも一緒に喜びたい所じゃき……」

守人と剛、本日は勝海舟の屋敷に泊まりとなった。


夕飯を食べ、布団に入った守人と剛。剛は大分静かである。

「……守人、分からねぇぞ?」

「剛は頭の中身が少ねぇからな~……」

「んな事有るか!……そろそろ教えろ」

「……勝海舟は坂本竜馬さ。坂本竜馬の顔をした奴は、影武者だな」

「おう?……待て待て、頭が追い付かねぇぞ?……」

「これだよ……分かりやすく説明するとだな~……まず、新しい時代の要職に坂本竜馬が居ないのは何故だと思う?」

「……これからは、自由に生きたい……とかだろ?」

「違うな……死ぬ人間の役職は用意してないのさ」

「死ぬ?……決まってる様な言い方だな?」

「決まっているのさ……剛、新しい事……例えば、大きく政治なんかが変わる時、国民はどうだ?」

「そりゃあ……混乱して、治安も悪くなって……」

「世界的に見て、それは極自然な出来事だ……しかし、そうならない時が有る。どうしてだと思う?」

「それは……功労者が殺害され…て……もしかして?」

「そうだ。新時代の為に坂本竜馬の命が必要なんだ。必要では有るが、新時代を進めるのにも坂本竜馬が必要だ」

「そうか……新時代には坂本竜馬という男の命が必要で、坂本竜馬の頭脳も必要という事か!」

「付け加えるなら、勝海舟という名前……お前が言ったから残った名前さ」

「まさか!」

「あの時、縁起の良い名前だと言っていた。縁起でも何でも担ぐさ、新時代の為ならね」

「……俺も不思議に思ってたんだ……勝海舟、かなりのビッグネームだが、坂本竜馬の都合にいい登場の仕方をしてる……そうなれば、辻褄は確かに合う」

「まぁ、これで依頼はほぼ終了だな……最も、この刀の分だけ、まだ仕事が残ってるがな」

「謎が解けたら、眠くなって来た……おやすみ……」

剛はこのまま就寝となった。守人は少し考え事をしてから眠った。やっと全貌が見えて来た様である。

翌日、守人と剛は坂本竜馬(影武者)の馬車に乗り込み、一緒に京都まで同行した。影武者は、守人と剛が気が付いている事は知らない。これは、3人だけの秘密との事である。


京都に着いてすぐ、守人と剛は坂本竜馬(影武者)と別れた。新撰組の所に行く為である。

幕末の京都、歴史では聞いていたが、実際に見ると物凄く違う。[誠]の文字の入った羽織を着て、新撰組は京都の町を見回りと称して歩いているのだが、その目付きが凄い。壬生狼(みぶろ)と言われた理由が分かる。並みの人間なら、その眼力だけで尻込みしそうである。そんな輩の後を付け、守人と剛は新撰組の根倉にたどり着いた。

「頼もう」

「……誰だ?」

「こちらに用事が有ってね」

「……斎藤も永倉も居ない。今は俺しか居ないが?」

「大丈夫、土方歳三に用事が有るんだ」

「ほう……して、俺に何の用だ?」

「坂本竜馬からの伝言だ……時代が違えば、おんしと儂はきっと分かり合えたと思うちょる。この時代で、それは叶わん事かもしれんけんど、来世という物が有れば、その時こそじゃ……最後まで、土方しゃんは土方しゃんらしく……だとさ」

「……その言葉、本当だという確証は?」

「この刀さ……坂本竜馬の愛刀、これを報酬として、伝言を頼まれた」

「……あっはっはっはっは!坂本竜馬らしいの!……これで悩みは消えた!……幕府は、絶対に負けんぞ!」

「……後は、神のみぞ知る……かな?」

「その通りじゃ!絶対に、頭は下げん!」

土方歳三、歴史で描かれた通りの清々しいくらいの武士である。

土方歳三の覚悟を見届け、守人と剛は新撰組の所から出て行った。翌日、守人と剛は事の顛末を勝海舟こと坂本竜馬に伝え、この時代を後にした。

守人と剛が去ってから数日、歴史に名高い[近江屋事件]が起きる。坂本竜馬(影武者)と中岡慎太郎は、ここで殺害された。歴史上は、坂本竜馬が殺害された事になっている。

遂に解決!

後は……この依頼の意味は……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] なるほどな解決ですね! 確かにこの依頼の意味が気になりますね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ