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俺が居ない俺の町……  作者: 澤田慶次
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解決法は前代未聞!……其の2

混乱している剛……大丈夫か?

スマホを片手に混乱している剛を尻目に、守人は話を続けた。

「どうする?剛を止める?」

「……何だか分かんねぇけど、間違った事はしてない自信は有る!」

「……なら、一旦見守っていいね?」

「おう」

剛はスマホで撮影しながら、事の顛末を見守った。

確かに剛は2人の男を投げたのだが、やはり悪いのは2人の男である。更に付け加えるなら、見過ごしたら女性に危険が及んだ可能性が有る。剛は改めて、間違えていないと確信した。


とりあえずは見守りをし、事が終わると守人と剛は移動した。コンビニでお茶を買い、2人でそれをコンビニの外で飲み始めた。

「……で、どうする?」

「どうするも何も……何で俺があそこに居るんだ?」

「スマホ、確認してみろよ」

「……6月17日?今日は24日だろ?……何だこれ?……」

「俺達は6月17日に来てる。だから、6月17日のお前が居るんだよ」

「は?6月17日に来てるだ?……お前、熱でも有るのか?……いや、頭がおかしいのか?」

「……なら、今見た事実をどう説明する?」

「…………タイムスリップした意外に説明出来ません……」

「よろしい……タイムワープって呼んでるけどね……さて、場所を変えようか?」

「何故?」

「周り……人が多いと困る話だろ?」

「お、おう、そうか……」

2人は、先程の公園に場所を移す事にした。


公園までの道のり、剛は黙っていた。守人は剛の方を何度か見たのだが、敢えて言葉を掛けないでいた。公園には意外とすぐに着いた。公園のベンチに座る2人、

「……守人、色々と聞きたいんだけど……」

「まぁ、そうだよね。俺の解決率が100%とかだろ?」

「違~よ、そんな事は後回しだ!」

「短気だな~……何故に過去に居るかだろ?」

「おう、まずそれだ!」

「……俺はな、時一族の者だ……と言っても、分からないよな?時を操り、時間を守る一族。それが時一族だ。このタイムワープだって、一族の能力だ」

「……成る程……悩み事の根底からやり直す……確かに解決屋としてはぴったりだな……」

「まぁな……それとな、依頼者は選ぶ。過去や未来を変える事で、歴史その物に大きく影響が出ない様にな」

「……俺の依頼は大丈夫なのか?」

「小さな事、問題無い。歴史的な大きな出来事については、余り関わらない事にしている……最悪、地球その物が失くなる場合も有る……かもしれないしな」

「大袈裟だろ……しかし、それだともっと繁盛してても……」

「それだと色々困るんだ。やり直しが出来るとしたら、好き放題やる奴が出て来るだろ?……人生は一度きり、そうじゃないと必死に生きないからな」

「でも、お前と知り合ったら……」

「だからな、解決した後は俺との関係を切るんだ。俺と関わりが無くなる。だから、解決屋を知らなくなる。やり直せる事を知らなくなる」

「……報酬は、どうして物なんだ?」

「金はあてにならない。未来が変われば、その金は無い場合が多いんだ。しかし、物ならば無くならない」

「無くならなくても、その物は……」

「な~に、ちょいとくすねてしまえば……な!」

「おい、それ……」

「本人から報酬として約束されてんだぞ?問題無いだろ?」

「……それもそうか……納得だな……しかし……関わりを切るって、誰も守人の事……」

「そうさ、誰も俺を知らない。俺の住む町で、誰にも知られないのが俺さ……俺の町に、俺は居ないんだ」

「居ないって、実際居るだろ?」

「知ってるか?…人間はな、死んだ時と忘れ去られた時に死ぬらしいんだ。俺は差し詰め、誰の記憶にも居ない死人(しびと)だ。ま、しょうがないがな……さて、俺の話は終わりだ。お前の依頼、これからどうする?」

「……それだが、あの女性がどうして裏切ったのかを知りたい」

「そうか、それなら……次の場所に移動だな」

守人は立ち上がり、すぐに歩き出した。

「待てって、俺を置いて行くなよ!」

剛も守人の後をすぐに追った。


先程の大きくない建物の地下に入った2人、

「ここ、目眩がするんだよな」

「結界が張って有るって言っただろ?」

「結界ねぇ……何で必要なの?」

「あのねぇ……どんなに些細な事でも、時空に歪みが出来る。それがタイムワープなんだよ。その歪みを、ここだけで済ませる為に結界が張ってある。かなり強い物なんだけどねぇ?」

「ふ~ん、そう」

「軽っ!」

「左手、光ってた方が格好いいのに」

「この左手だって、そのままなら時空の歪みを生み出すんだよ。この手袋だって、強力な呪法が掛かってるんだから」

「……難しいんだな……ま、それはそれとして、よし、次だ次!」

「切り替え早ぇな~……とりあえず、次の場所だな」

守人は左手の手袋を外し、目を瞑って集中する。またも左手に六芒星が浮かび、七色に光り出す。

「……やっぱり大当たりだな!7が揃うぞ!」

「だからさ、パチスロから離れろっての!」

またも剛の視界が歪む。

「よし……」

「着いたんだな?よしよし……さて、どんな真実が待ってるかな~……」

「……お前、自分のピンチを招いた出来事だぞ?」

「いいのいいの、それはまずは後だから!……さっきは混乱したけど、なかなか体験出来ない事を俺は体験している!徹底的に楽しまないとな!」

「……本当に切り替え早いな……有る意味羨ましいよ……」

ウキウキした表情で出て行く剛と複雑な表情の守人、とりあえずの目的は何故に女性が裏切ったかを突き止める事である。

解決は、まだ先かな?

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― 新着の感想 ―
[良い点] どんな解決になるのか、楽しみですね。 無事解決ならよいのですが。
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