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俺が居ない俺の町……  作者: 澤田慶次
27/64

日本を変えろ!坂本竜馬暗殺阻止!……其の1

……歴史を変える様な依頼……

本日も守人と剛は、事務所で時間を持て余していた。暦は9月も後半となり、大分涼しくなって来ている。

「守人~、何番台が出るんだよ~?」

「自分で考えろ!」

「だってさ~、出ねぇんだも~ん!」

「も~んじゃねぇ!この馬鹿!」

「そう言うなよ~、スロットで万枚は男の浪漫だろ?」

「お前だけだ、阿呆!」

本日も、守人と剛は言い争いをしている。平和という事だろう。


結局、守人と剛は本日も人生ゲームをしていた。剛が勝つと、翌日のスロットで大勝ち出来る台を教えて貰えるらしい。剛の目が血走っているのが怖い。

[コンコン]

ノックがされ、1人の男が入って来た。

「解決屋とは、こちらかな?」

「そうですが?」

「是非にお願いしたい事が有りまして……」

「とりあえずはこちらに……剛、お茶」

「はいはい、今出しますよ」

守人は男をテーブルに促し、剛は男にコーヒーを出した。

「すいません……本題に入ってもよろしいかな?」

男は座ると、すぐに話をしたそうである。

「節操が無いね~」

「守人、お客様だぞ?」

「客かどうかは俺が決める……要件は?」

「日本は、どうだと思う?……余り良いとは思えない……」

「だから?」

「日本を変えたい!……どうだ?」

「……で、誰からの紹介だ?」

守人の声が低く、目付きも鋭い。いつもの様な名前等を言い当てる事もしない。

「誰と言われましても……」

「嘘は分かるぞ……はっきり言え!」

「……盛事(せいじ)という人物です……名前しか知らないですが、ここが最適だと……」

「どう最適なんだ?」

「……歴史を変える為には……ダメですか?」

「……どうしたい?」

「坂本竜馬が生きていたら……そんな事を考えるんです……」

「……報酬は?」

「それは……その盛事という男が……」

「……暗殺を止める……それでいいのか?」

「出来る事ならば!」

「……その結果は知らんぞ?」

「構いません!」

「……伝えておけ、面倒な依頼を寄越すなとな……あ~、面倒臭ぇ……後さ、報酬は最低1000だと言っておいてくれ」

「では、引き受けて下さると?」

「分かったよ、早く帰れ」

守人はこの男を追い出す様に帰した。

「守人、今のは……」

「面倒な依頼だが、引き受けないとな~……しょうがない、剛にもいい経験になるか……」

「……今のは誰だ?」

「さぁて……分からんな」

「いつものマジックはしないのか?」

「いつもの?……名前の事か?……今回は無理だな、関わってる人間が人間だからな」

「盛事とかいう男か?」

「まぁ、そうなるな……しょうがない、動くとしよう」

守人は溜め息を吐きながら事務所を出た。剛は急いでその後を追った。


地下室に着いた2人、とりあえずは着替えを行った。坂本竜馬という名前が出た以上、格好は江戸の頃となっている。

「……大掛かりな仕事になりそうだな?」

「史実通りならな」

「気になる言い方だな?……何か有るのか?」

「有るのか無いのか、それを見極めるのも俺達の役目……だろ?」

「確かにな~……大変だよな~……」

「顔……にやけてるぞ?」

「だってさ~、坂本竜馬に会えるんだぜ!しかも、生だよ生!」

「……お前、置いてくぞ?」

「何でだよ~、お前はどうか知らんけど、楽しみなんだよ~!」

「……本当に馬鹿!」

守人は舌打ちし、剛は遠足に行く子供の様な顔をしていた。


地下室から出ると、そこは時代劇で見た様な風景である。某江戸村の様な感じであり、初めてという感覚は無いみたいである。

「守人、何故か見慣れた感じなんだが……」

「時代劇やってるしな。あれはリアルだよ」

「そうか~……もっとこう、感動を期待したんだけどな~……」

「剛、[馬鹿し]に名前変えたら?」

「どういう意味だよ?」

「そういう意味だよ」

話をしながら、守人はとある店に寄る。

「いらっしゃい」

「この刀と木刀でいくら?」

「丁度2両です」

「この手甲は?」

「5分ですね」

「……合わせて2両2分でどうだ?」

「敵いませんね~、いいですよ」

守人は袖から2両2分を出し、店主に渡した。腰に刀と木刀を指す守人、

「剛、これ着けとけよ」

「……俺も刀がいいな~!」

「お前、剣術出来ねぇだろ?」

「それはお前もだろ?」

「馬鹿だな~、俺は武芸一般なんでも来いだよ」

「……嘘付け!」

「失礼な!本当だぞ!」

「はいはい、そうしとく」

何だかんだと言いながら、剛は手甲を装備して守人の後を付いて行く。


とある道場の前に着いた2人、[千葉道場]と看板が掛かっている。

「守人、俺も金は有るのか?」

「袖に入ってるだろ?」

「おう、これか!……これ……」

「3文だ!」

「早起きはのあれだな?……何が買える?」

「そうだな~……みんなの同情かな?」

「役に立たねぇじゃねぇか!」

「おう、気にするな」

「気にするわ!」

話をしながら、その道場に入って行った。

「頼もう」

「おう?……おんしゃ、誰とね?」

「誰かはそのうち……坂本さんかな?」

「ほう、儂を知っちょるき?興味深いお人ね……後ろの人は?強くなりそうじゃき」

「俺ですか?……俺は……」

「こいつは刀は使わない」

「誰ですか?」

話をしていると、奥から防具を着けた女性が出て来た。

「我が道場に、何のご用でしょうか?」

「道場には別に……坂本竜馬に用事が有ってね」

「儂も、おんしゃに興味が有るとよ」

「この穀潰しにですか?変わった方ですね?」

「どうだろう?一手、手合わせは?」

「ほう、更に面白か人やね……おんしには、儂はどう映っとうとか?」

「どう?そのままさ……少なくとも、この辺では敵う者が居ない剣豪……かな?」

「な、何を?この道楽者がそんな訳……」

「……抜け目のなかお人よ……目的はなんね?」

「お主の真意……かな?……どうかね?」

「結構、相手になるとよ」

「待った!父が留守な以上、この道場の主は私!……私に勝たない限り、それは認めません!」

「……後ろのお方が最適じゃき」

「気が合うね~……剛、よろしく」

「はぁ?俺?」

「馬鹿にしてるわね……覚悟なさい!」

守人と剛はこの女性の後を付いて行く。その後ろから、頭を掻きながら坂本竜馬が付いて来る。少し汚れた着物に身を包み、無精髭も生やしている。

守人は何を考えているのだろう。

何やら裏が有りそうな……

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今度は何やら壮大な依頼内容ですね。 歴史を動かすことになるのか、はたまた隠された何かがあるのか、楽しみですね!
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