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俺が居ない俺の町……  作者: 澤田慶次
24/64

あの夏、1番暑い日!……其の3

宗一奪還!?

守人の合図で、剛は花火に火を付けて一気に投げ入れた。

「うわ、何だ?」

「どうなってんだ?」

「誰だ?」

中の人達が騒いでいる。

「よし、奪還開始だ」

「サポートします」

「俺は、まだまだ花火を投げ入れるからな」

剛が目眩ましをしている間に、守人と橋田は宗一を取り戻した。この煙の中、見事としか言い様がない動きである。

「だ、誰だ、クソッ!」


[バシュン!]


宗一を誘拐したうちの1人が、入り口に向けて発泡した。


[ピタッ]


守人を覗き、周りは全て止まっている。

「剛を、ここで失くしたくないからな」

守人は剛を抱え、2·3歩横に動いた。

「時は動き出す」


[ピュン]


銃弾が、守人と剛のすぐそばを通り抜けて行く。

「うおっ……危な……悪いな、守人」

「いや、それよりここから消えるぞ」

「お、おう」

「橋田さん、宗一君をお願いね」

「分かりました。さぁ、宗一様!」

花火の煙が消えないうちに、4人は倉庫から姿を消した。


橋田が和興に連絡し、迎えが来るまで公園で休む事になった。

「剛様、ジュースを宗一様とお願いします」

「え?俺?……まぁ、いいけど……」

橋田は剛にお金を渡し、宗一と一緒にジュースを買って来る様に頼んだ。

「……それが、守人の能力なんだな?」

「やっぱり……信治(のぶはる)叔父さんだったね」

「バレない様にとは思ったけど……やっぱりバレたな」

「しょうがないよ。やけにタイミングバッチリだしさ」

「……どのくらいの俺が来た?」

「そうだな~……70といった所か?……まぁ、爺さんだったよ」

「そうか……成る程……」

話をしていると、剛と宗一が戻って来る。タイミング良く迎えの車も来た。それに乗り込み、宗一奪還は見事に成功となった。


自摸電気に到着し、その中に入って行く。すぐに社長室に案内された。

「良く……本当にありがとう」

「心から感謝します!」

和興と昭次からお礼を言われ、宗一は違う場所に秘書が連れて行った。

「何と言ったらいいか……橋田も、本当にありがとう」

「橋田さん、本当にありがとうございます」

「いやいや、私は……それより、こちらの2人に報酬を……」

「そうだったそうだった。いくらでも出すぞ、10億か20億か?」

「父さん、それよりも子会社の1つでも……」

「……スケールがでか過ぎる……」

「興味は無いんだよね~、会社も金もさ!……高価な物を貰えないかな?」

「高価な物?」

「何か……」

「旦那様若旦那様、あの時計を……」

「時計?……これの事か?」

「はい、それでございます」

「しかし……」

「橋田さん、これを貰う権利はあなたに……」

「なら、私からそれをお2人に……私は、坊っちゃまの命が助かるのならば、何も望みません」

「そんなに言うならば……」

「これで、ご納得頂けますか?」

「オフコース!……では、こちらを報酬として」

「我々は、これにて失礼致します」

守人と剛は時計を受け取ると、頭を下げて自摸電気を後にした。

「さて、次だな」

「やっぱり、これで終わりじゃないよな?」

「まぁな……少しは分かって来たな?」

「少しはな」

2人は地下室を目指した。


次の目的地となった。

「……何年後?」

「約10年」

「そう……今回は?」

謙次(けんじ)を救う……だな」

「謙次……多分だけど、耕三さんの兄貴だよな?」

「鋭いな~……成長著しいな!」

「……お前の事にも、少し慣れたよ……」

「本当に成長したな!」

「……やっぱりムカつく」

2人は話ながら、自摸電気に向かっていた。

自摸電気に着くと、守人は受け付けで昭次に取り次いで貰おうとしたのだが、

「お待ちしておりましたよ。さぁ、こちらへ」

声を掛けて来たのは橋田である。白髪が少し混じっており、年齢を感じさせる。橋田の案内で、守人と剛は近くの喫茶店に連れて行かれた。

「あれから何年も経つのに、変わらないお2人が来たら……」

「昭次社長、ビックリだな!」

「……悪る乗りし過ぎです」

「謙次、肝臓が悪いんだよな?」

「はい、明日手術の予定です」

「事故渋滞で間に合わないんだよな~……さて、どうする?」

「そうですね~……事前にルート変更出来れば……」

「よし、明日は俺達が運ぶとしよう」

「……どうやってです?」

「そこはさ~、昭次さんに言ってさ、上手くやっといてよ」

「承知しました」

「……少~し待って貰おうか」

「どうした剛?」

「いかがなされました?」

「どうして橋田さんは、俺達を見て何とも思わないんだ?」

「……守人、説明はしてないのですか?」

「してないよ。面倒だし!」

「……これは……全く…………簡単な話です。私は守人の叔父です」

「叔父!?」

「はい」

「はいじゃないよ!本当に叔父さんなの?」

「そうですよ」

「剛~、ビックリし過ぎ」

「誰だってビックリするわ!……しかし、それなら……確かに納得だな……」

「……話を元に戻しますよ。明日の輸送、必ず成功させて下さい」

「大丈夫だよ。それより、今日泊まる所をお願いね」

「それは承知致しました」

「剛~、今日は旨い飯が食えるぞ!」

橋田の案内で、守人と剛はホテルに泊まる事になった。かなり高級なホテルであり、ルームサービスも豊富である。夕食を食べ終えた2人、ツインの部屋でゆっくり過ごしている。

「なぁ、守人」

「何だ?」

「橋田さん、どうしてお前に依頼を?」

「そうだな~……叔父さんは、一族を抜けた身だからかな」

「一族を抜けた?」

「そう、そして自分の好きな時代へ……この時代が、叔父さんの気に入った時代。それだけの事さ」

「そうか、成る程……そうだよな、70くらいのお爺ちゃんがお前の叔父さんとは……」

「あっはっは、俺達には、時間の感覚が他人(ひと)とは違うんだよな~……下手すると、自分より若い親に会う事も有るからな~……」

「おー、確かにそうだな!……今までに無かったのか?」

「無いな~……俺達の一族には、色々有るからな~……そもそも、叔父さんと会うのは十数年振りだ」

「……複雑そうだな?」

「……そのうち……そのうち、剛には話す時が来るさ」

「分かった。それまでは、聞かないでおいてやる」

複雑な事が有るみたいである。とりあえず、今は明日の輸送が上手く行く事を願いたい。

解決まではもう少し……

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― 新着の感想 ―
[良い点] 守人一族はまだまだ奥が深そうですね。 どんな複雑なつながりがでてくるのか、楽しみです。
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