作られたヒーロー!……其の4
何が有る?
守人と剛は地下室に着いた。
「さて、もう少しやらないとな」
「だよな~、このまま上手く行くとは思わないし……」
「剛が感じるんだから、やっぱりやらないとな?」
「どういう意味だ?」
「そういう意味だよ!」
何やら言い合いをしている様だが、とりあえずは次の目的地に向かった。
タイムワープが終わり、外に出て行く2人。
「何処に行くんだ?」
「服部会長に会いにな……ちょっと待ってろ」
守人は途中、公衆電話にて何処かに連絡を入れた。その後すぐ、守人は剛を連れて足早に歩いて行った。
5分程歩くと、いかにも怪しい地下のパブに着いた。
「ここ……大丈夫なのか?」
「大丈夫だと思うか?」
「いいや、思えんが……」
「なら、そういうつもりでな!」
「……そんな簡単な乗りなのかよ……」
守人は気にせずにドアを開けて入って行った。恐る恐る、剛は後を着いて行く。
「予約の無い方はお断りだ!」
「俺達は、VIP待遇の筈だけどね~……服部会長に、戸張が来たと伝えてくれ」
「何処の戸張か知らないが……」
黒服のボーイが話しているうちに、守人は懐から44マグナムを取り出してボーイに突き付けた。
「これなら、VIP待遇な事は理解出来るか?」
黒服の男は冷や汗を流した。
「さぁ、案内しな」
「………………只今」
黒服は無言で、とある部屋に守人と剛を案内した。
「剛、行くぞ」
「お、おう」
「緊張するなよ~」
「しない方がおかしいわ!」
[ドン!]
威勢良く守人はドアを開けた。
『!?』
中に居る者達が、一斉に守人達の方を向く。この間の3人と服部会長、その他に5人の柄の悪い男達が居る。
「いや~、まさに悪人だね?」
「戸張……」
「服部会長、約束は守らないと」
「……こいつ等……お前達!」
『任せて下さい』
5人の男達、拳を鳴らす者やドスを出す者とやる気満々である。
「……しょうがないな~……」
守人は左手の手袋を外した。次の瞬間、男達が一斉に襲い掛かって来た。
[ピタッ!]
守人の左手の甲に紫色の六芒星が浮かび上がり、守人以外の時間が止まっている。
「剛に見えないのが残念……」
守人は一言呟くと、物凄い速さで5人を攻撃した。止まっている相手、見事に守人の攻撃は命中する。しかも、この前よりも明らかに強い攻撃である。
「……時は動き出す」
[ドゥン!]
守人達に襲い掛かった5人が吹っ飛ばされる。その勢いで、手や足の骨を折った者も居る様である。
「この前もそうだが……」
「何をしたんだ?」
「こいつはいったい……」
3人が喋っていると、守人はその3人に44マグナムを向ける。
「頭が悪いね~、命は要らないのかな?」
「ま、待て!」
「話せば分かる!」
「頼む!」
3人は土下座をした。
「みっともねぇな~……服部会長は、命乞いなんてしねぇよな?」
守人は服部会長に銃口を向ける。
「いや、その……黒鉄からは手を引く……それでどうか……」
「本当だな?」
「ほ、本当だ。黒鉄は、俺達とは全く関係ない……」
[ドン!]
ドアが開き、警察が入って来た。
「動くな!全員確保だ!」
服部会長を始め、他の者達にも手錠が掛かる。
「こ、こいつも逮捕を……マグナムを持ってる……」
「これ?」
守人は天井に向けて引き金を引いた。BB弾が発車される。
「オ、オモチャ……」
「そういう事!」
「……ここに居るのは怪しい。こいつ等も確保!」
「だと思ったよ……」
守人は懐から玉の様な物を出した。
「じゃあね」
[ボン……シュウゥゥゥゥゥゥ]
守人がその玉を地面に叩き付けると、物凄い煙が発生した。
「特製煙玉!…剛、こっちだ!」
「お、おい、そんなに強く引くなよ~……」
守人は剛の手を引き、一目散に退散して行った。そのまま、例の地下室まで一気に走った守人と剛、地下室でペットボトルのお茶を飲んでいた。
「……いや~、なかなかだったな?」
「どの辺がなかなかなんだ?」
「どの辺て……大体全部かな?」
「……いい加減過ぎる!もう少しで刑務所行きだ!」
「大丈夫だよ、俺を信じろ」
「……1番信用ならん!」
「恥ずかしがるなよ~、信頼の置ける男だろ?」
「……お前、いつか痛い目見せてやるからな!」
「出来るならどうぞ!」
「この野郎……」
いつも揉めているが、疲れないのだろうか。この2人、息が合ってるのか合ってないのか分からない。
「それよりだ。黒鉄武は大丈夫なのかな?」
「大丈夫だ、無問題。きっと、今頃青くなってるさ」
守人は企んだ様な笑いを浮かべた。剛は訳が分からず、首を傾げていた。
服部会長達が取り調べを受ける。それぞれ、個室に連れて行かれた。警官と向かい合って座っている。
「服部、取り調べの前にこれを見ろ」
警官は1枚の紙切れを服部会長に見せた。
野原警部に迷惑を掛けない様に
全部お見通しだよ
「お前のポケットに入っていた」
「……あなたのお名前と階級は?」
「担当する野原だ、警部をやっている。何故俺だと分かったんだ?」
「…………分かりません……」
答えた服部会長、全身が震えている。約束を守らねば、今度こそ自分の命は無いと思った様である。
服部会長の他に捕まった3人に対しても、同じ事が起きていた。誰もが、戸張は取り調べを受けている今も見張っていると確信した。そして、黒鉄武を無関係だと言わないと、自分達の命が危ないと感じた。
どうやら、黒鉄惇の父親、黒鉄武の件は解決となった様である。
やっと、解決が見えて来た。