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俺が居ない俺の町……  作者: 澤田慶次
14/64

真に怖いは人間……其の4

遂に解決!

地下室に戻った守人と剛、

「現代に帰る前に……」

「桑門さんの未来を見る……だろ?」

「おう、行くぞ」

「がってん承知!」

守人と剛、桑門の未来を見に行く事にした。

剛の目眩が治まり、2人は外に出た。

「どっちだ?」

「こっちだ、着いて来い」

「おう、よろしくな!」

2人は山の奥に歩いて行く。


暫く歩く2人。かなり歩いているが、どちらも文句を言っていない。それだけ、桑門の未来が気になる様である。

更に2時間程歩き、とある村に着いた。

「剛、こっちだ」

「おう」

守人に連れられ、剛は小高い丘に案内された。2人はそこで腹這いで横になり、見付からない様にして村を見ていた。

「守人、ここは大丈夫なのか?」

「ここはな、龍神様を祀ってる村だ。変な事は起きねぇさ」

「龍神様か……確かに協力そうだな」

「お!桑門だ!」

「本当だ!」

桑門が家から出て来た。村人と色々と話をしている様だ。桑門の表情は穏やかであり、何処と無く優しさが溢れている。

「どうやら、終の棲家を見付けたらしいな」

「そうだな……守人、何か有るんだろ?」

「察しがいいね!……少し見てろよ」

「やっぱりな!だと思ったよ」

2人が暫く見ていると、1人の女性が村を訪れた。それを桑門が迎え、色々と話をしている。桑門の顔が一層優しくなり、そのまま村に女性を迎え入れた。

「守人、あれは?」

「五行さんの先祖の1人。やっと、桑門と会えた訳だ」

「……五行さんの先祖、どうしてここに?」

「五行薫が話してただろ?何処の村も受け入れてくれなかったのさ」

「そうか……何だか、寂しいな」

「どうして、桑門の呪いが強くなったか分かるか?」

「??……どうしてだ?」

「自分に縁の有る人間が、自分達を貶めた人間達に付いている。桑門がどれだけ怒り狂うか……少し考えただけで、ゾッとしないか?」

「成る程……納得だな」

「さて、帰るか?」

「おう、満足だ」

守人と剛、満足の様である。

帰り道、剛は遠いと不満を言っていたが、顔は笑顔であった。守人は剛に文句を言っていたが、こちらも笑顔である。


現代に帰って来た守人と剛、そのまま事務所でコーヒーを飲んでいた。

「剛、今回も頼むな」

「おう……ルノアールか?」

「そうだ、7番テーブルな」

「……誰が来るんだ?」

「それは……会ってのお楽しみだな」

「……怖い人じゃないよな?」

「それは大丈夫だ……500だからな」

「はいはい、そこはがめついな」

「お前の取り分が有るからだよ!」

「はい!頑張らさせて頂きます!」

剛はコーヒーを飲み干すと、水晶を入れたリュックを背負って事務所を出て行った。


喫茶店ルノアールに着いた剛、7番テーブルには先にサングラスを掛けた女性が座っている。

「すいません、依頼者の方でしょうか?」

「はい、そうです!」

「では、相席を失礼します」

剛はテーブルに着くと、ブラックのホットコーヒーを頼んだ。すぐにコーヒーが来る。剛はそのコーヒーを飲んだ。

「それで、水晶の方は……」

剛の前に座っている女性が、サングラスを外しながら喋った。

「……五行…薫……」

「はい、そうですけど……どうしました?」

「いや、ちょっとね……」

剛は驚いていた。五行薫が物凄く綺麗だった。タイムワープ前、左目を潰され、右の口を裂かれた顔の記憶しかない。改めて未来は変わった、剛はそう思った。

「あの~、五行薫さんですよね?…握手とサインをお願い出来ますか?」

「はい、私で良ければ」

近くのテーブルに座っていた女性が薫に話し掛け、薫は笑顔で対応した。この事で、本日ルノアールには数人の客しか居なかったが、その誰もが薫のサインを貰う為に声を掛けて来た。

「……大人気ですね」

「……一応、色々とドラマや映画に出てるんだけど……私もまだまだ、頑張りが足りないみたいね」

「いやいや、私は余り、テレビ等を見ないですから……これで、間違いないですか?」

剛はリュックから水晶を出した。薫は水晶を手に取る。

「ちょっと待って下さい…………これで間違いありません。ありがとうございます」

「そうですか、良かった」

「今、見ただけで何が分かるかって思いましたね?」

「いや、別に……」

「私、少しですけど霊能力が有るんです。だから、偽物か本物かくらいは分かるんです」

「……そうですか。なら、今回は安心ですね?」

「はい、ありがとうございます。では、こちらが約束の物です」

剛は差し出された紙袋の中身を確認した。

「確かに……それではこれにて……」

「今度、映画に出るんです。江戸時代中期のとある村の話……大蛇丸っていう大蛇を倒した言い伝えを元に、色々脚色付けて映画に……私はヒロイン!」

「……凄いですね」

「でも……少し弱いんですよ……化け物相手に、人間だけなんて……」

「こちらも味方に凄いのを着ければ……例えば、九尾の狐なんかね」

「それ、凄いアイデアです!監督に話してみます!」

「それでは、映画、頑張って下さいね」

「ありがとうございます。あ、コーヒーは私が払います!本当にありがとうございました」

「そうですか、それではご馳走様でした」

剛は頭を下げ、ルノアールから出て行った。


事務所に戻った剛、

「これ……俺は200だな?」

「活躍してない癖に……」

「大活躍だっただろ?」

「何処が?…それより、剛、この護符持ってろよ」

「護符なら……あれ?ボロボロ……」

「江戸時代の物だからな」

「あの狐のキーホルダーは?」

「これか?…これは秘密兵器さ」

「九尾の狐に関係有るんだろ?」

「なかなか鋭いね~、成長したね、立派立派!」

「気になる言い方だな~……所で守人、金成はどうなったんだ?」

「これ、見てみろよ」

守人は自分が使っているノートパソコンを剛の方に向けた。


金成と桑門和尚


江戸時代中期、小さな村で金塊を見付けた金成(かねなり)(おさむ)はそれを一人占めしていた。村に疫病が流行っても、修はびた一文村の為にお金を出す事はなかった。

村の疫病が解決すると、修は村を追われる。追われて着いた先、元僧侶で村長の桑門に助けられるのだが、桑門を陥れようとする。それを村人達が未然に防ぎ、修は罰を与えられる筈だったのだが、

「人を罰した所で、戻って来るのは恨みや辛み……罪を憎んで人を憎まず」

桑門村長の言葉で、修は村からの追放のみで済んだとの事。

もう何百年も昔の事であり、龍月(りゅうげつ)村と呼ばれた村の確かな伝説である。その後、桑門村長は子供達が立派に巣立ち、愛妻の死に立ち会うと寺を建て、いつまでもその教えを広めたとの事。桑門住職の寺、何処の事を言っているのか定かではないが、確かに今も健在との事である。


「納得かな?」

「ああ、満足だ!……五行薫、それ程力は無かったみたいだな?」

「必要がねぇのさ。危険はなくなったからな」

「成る程……本当に解決だな」

「よし、じゃあ今日の第7レース、連勝単式7-4に200万だな?」

「何でだよ!」

「楽しいだろ?剛が負けるの!」

「お前だけな!」

守人はテレビを着ける。丁度、競馬中継をしていた。

第7レース、始まると守人の言った通り、連勝単式7-4が来た。74.8倍である。

「馬鹿だよな~、折角教えてやったのに」

「おま、ずるいぞ!」

「信じないお前が悪い!フッフッフ、これ何だと思う?」

「……買ってたのか?」

「オフコース!……よし、分厚い肉でも食いに行こうっと!」

「お供します!」

「頼んでねぇよ?」

「またまた~、寂しいんでしょ?」

「特にはないな」

「そう言わずに!さぁ、肉が待っていますぞ!」

「……調子の良さは世界一だな……」

結局、守人の奢りで結構いい肉を腹一杯食べた剛であった。

兎に角、無事に一件落着である。次は、どんな仕事が待っているのか。

旨い肉!

楽しそうな2人です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 無事解決できました。 次はどんな依頼が待っているのか、一筋縄にはいかない案件がきたりして。。
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