真に怖いは人間……其の2
今回は江戸時代!
どうなる事やら……
剛が買い物から帰って来ると、その荷物をリュックに入れて例の地下室に向かった。
「この買い物、何か意味が有るのか?」
「有る有る、かなり必要だ」
「……何作るんだよ?」
「そうだな~……最終兵器……かな?」
剛は納得いかない表情だが、守人は特に気にしていない。2人は地下室に着くと、早速タイムワープをした。
「剛、これに着替えて」
「これ……昔の旅人か?」
「そう、旅人が1番いい」
「はいはい、こうなりゃ妬けだ!」
2人は着替えてから外に出た。
外は林である。2人はそこから暫く歩いた。陽が掛けて来た。
「まだ着かねぇの?」
「もう少し先だね」
「自転車とかねぇかな~?」
「江戸時代だ、よく考えろよ」
「だけどさ~……」
剛は歩く事に疲れた様である。ブツブツ言っている。それでも歩みを止めないで数分、守人は歩みを止めた。
「着いたのか?」
「その様だ……この村に用が有る」
「……普通の村に見えるが……」
「入れば分かるさ……それより、お前の無駄にデカイ身体は邪魔だな?」
「何だ?パワラハか?」
「事実だよ事実!」
2人は話をしながら、村の中に入って行った。
村に入ると、かなり静かである。それ程大きくはないが、それなりの集落がある。子供も居る筈である。
「静かだな?」
「騒げないのさ……もっと奥、あの小さな家に目的の男、桑門修行僧は居る」
「桑門……そんな名前なんだな」
「どうした?」
「いや……名前も有って、村の為に命を賭けて……それで裏切られて、哀れに思ってな……」
「哀れねぇ……俺は、200万円を一瞬で失くした男の方が不憫だと思うがな?」
「あれはお前の陰謀だろ?」
「いや、社会勉強だ!」
「んな訳有るか!」
「勉強勉強、大変だな……」
守人は足早に桑門の家に向かい、剛はそれに着いて行った。
ノックをした守人、中から男が出て来る。桑門の様である。
「どうしました?」
「いや、旅で迷いまして……」
「ここで良ければ、どうぞ中に」
「ありがとうございます」
「すいません、失礼致します」
守人と剛は中に通された。
囲炉裏の周りに座ると、桑門はお茶を出した。
「大変だったでしょう?」
「いや、大変なのはこれからです」
「???」
「桑門さん、この村はどうですか?」
「どうして名前を?……まぁ、なかなかいい村ではあります」
「……今の事が解決したら、残りますか?」
「さて、どうでしょう……私は修行の身ですから……」
「桑門さん、そう思うなら必ず出て行って下さい!」
「剛、いきなり大声出すなよ~……」
「……思い詰めた様な顔ですね……訳を聞きましょうか?」
「ここは俺だな……あんたはこの問題を解決する。そして、ここの富豪に裏切られ、死ぬ事になる」
「私が死ぬ?……どうして?」
「言ったでしょ、裏切られるって……その事を怨んだあんたは、俺達が住む何百年も先の未来でも、その呪いでそいつ等を苦しめてるんだ」
「何百年も先?……いよいよもって、話が分かりませんね?……そもそも仏法に身を置く私が呪い等とは……」
「俺達は現に見てるんだよ!あんたは、そんな事をしちゃいけない!」
「剛、冷静に……聞いただけで見てねぇぞ。どうした?」
「こいつが、余りにもいい奴だからさ……どうしても、未来を変えたいんだよ」
「……あなた方は嘘は付いていない様だ。しかし……おいそれとは信じられない……」
「それはそうだろうな……どうだ?俺達がこの問題を解決してやる。それを条件に、考えてくれないか?」
「解決って……分かって言ってますか?」
「おう、大蛇丸だろ?」
「おい、待て!……大蛇丸って……大蛇みたいな名前だな?」
「大蛇だ」
「大蛇って……デッカイ蛇の事か?」
「??他に居るのか?」
「馬鹿な事を……そんな奴が……」
「居るぞ、現にこの村は苦しめられてるし……桑門に聞いてみろよ」
「……どうなんですか?」
「……結構有名な話ですよ。なかなか厄介な奴です」
「ほらな?……それで、俺達で……」
「だから待てって!……そんな奴、倒せるのか?」
「倒せるよ」
「本当か?」
「本当だよ」
「……大丈夫なんですか?」
「ほら~、桑門が疑ってんじゃ~ん」
「だってよ~……」
「とりあえず、俺達が倒したら……」
「私も見届けます。それくらい、大丈夫でしょう?」
「構わないけど、自分の身は守ってね」
「はい、約束します」
「では、明日のこの時間に、またお邪魔します。ほら、剛」
「ああ、それでは失礼致します」
2人は頭を下げて、桑門の家を後にした。
地下室に戻る2人、守人は剛にリュックを持たせ、すぐに地下室から出て行った。勿論、剛も着いて行く。そのまま暫く歩いている。
「今度は何処だよ?」
「もう少し先」
「誰に会うんだよ?」
「……会えば分かるさ」
「……怪しいな~」
「大丈夫だよ、安心しろよ~!」
「……いきなりヤクザだからな……」
「いきなり団子みたいだな?」
「そんなに楽しそうな物じゃなかっただろ?」
「そうか?……俺は楽しかったぞ?」
「……ダメだ、価値観が合わん……」
剛は少し呆れていた。そんな話をしていると、守人は洞穴に入って行った。不思議な洞穴である。守人が入るまで、有る事に剛は気付かなかった。
「お~い、居るか?」
「誰に言ってんだよ?」
「ここの住人」
「……住んでる訳ねぇだろ?」
[誰だ、何の用だ?]
目の前に、大きな狐が現れた。尻尾が9本有り、人間の言葉を話している。剛の身体は、一気に恐怖に蝕まれた。
「やぁ、俺だよ俺」
[時一族……また厄介事か?]
「そう言うなよ、色々有るんだよ」
[このお人好しが]
守人は普通に喋っているが、剛は動けないでいた。この狐、いったい何者なのだろうか。
思わぬ者!
狐ですけどね……




