表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が居ない俺の町……  作者: 澤田慶次
10/64

新生解決屋、初めての仕事!……其の5

解決!……となるかな?

地下室に着いた2人、後は解決となる筈なのだが、

「剛、寄り道な」

「……危険は無いよな?」

「オフコース!」

「……本当か?」

「疑り深いね~」

「当たり前だ!何回騙されたと……」

「俺を信じろよ!」

「……それが1番不安だ……」

守人は、まだ寄りたい所が有る様だ。


剛にいつもの目眩が起き、守人は笑顔で外に出て行く。どうやら、目的地に着いた様である。

守人の後を着いて行く剛、またも電気屋の前を通る。


[さぁ、霧島が最終回のマウンドへ……ルーキー1年目、初めての先発。8回までに許したヒットは当たり損ないの1本のみ!……この開幕戦、ルーキー霧島は完封でプロ初勝利をもぎ取る事が出来るのか!]


剛はテレビに釘付けになった。

「おい、霧島航がプロになってるよ!」

「その様だ。さて、このまま勝てるかな?」

「1-0……痺れる展開だな~……少し見てようぜ」

「おう、構わねぇぞ」

守人と剛は電気屋のテレビに注目する。

試合はセリーグの試合、霧島航はセリーグの広島県のチームに入団した様だ。9回裏のマウンドも、小気味良い投球を見せる航。最後の打者を三振に打ち取り、見事にプロ初先発を完封勝利で飾った。


[それでは、今日のヒーローはこの人!…霧島航投手です!]

[ありがとうございます]

[ナイスピッチング!]

[はい、両親が来てますので……張り切りました~!]

『ワァ~~~~~~~~!』


スタジアム、物凄い熱気である。

「やったよな~!立派立派!」

「本当にな……さて、帰るか?」

「はい?……用事はこれ?」

「おう、どうなったか見たいだろ?」

「そりゃあ……守人、結構人情深い所有るんじゃねぇの?」

「何言ってんだよ、俺は元々優しいぞ」

「本当かな~?」

「何だよ、この時代に残してくぞ」

「それは無しだろ!」

守人も航の事が気になっていたらしい。どうやら、納得の結末の様である。2人はそのまま、改めて地下室に向かった。


現代に戻った。2人は事務所に行く。

「……やっぱり……血の跡がねぇな」

「ああ、未来は変わった」

「そうか……どうやら、解決だな?」

「いや、まだ仕事が有る。剛、これを売って来てくれ」

「この時計?……勿体なくねぇか?」

「売らないと金がねぇだろ?」

「でも……」

「いいから!…新宿にルノアールって喫茶店が有る。そこの7番テーブル、そこに客が来る。500万、分かったな?」

「がめついな~……300だろ?」

「プレミアが付いたんだよ」

「……分かったよ~……五分五分な」

「7:3」

「6:4」

「……乗った!」

「勿論俺が……」

「4に決まってるだろ!」

「やっぱり?」

剛は守人の依頼通り、新宿の喫茶店に向かった。


喫茶店の指定されたテーブルに座る剛、ホットコーヒーのブラックを頼んだ。

「しかし……どんな奴が来るのかな?」

剛は運ばれて来たコーヒーを飲みながら、ボソッと呟いた。

「すいません、お待たせ致しました」

言葉の方を向いた剛、

「あ、お、霧島……航……」

「はい、霧島です……あれ?人違いでした?」

「いや、俺は依頼されただけだから……時計で間違いは?」

「はい、間違い有りません」

航は剛の向かいに座った。

「……以前……何処かで会いました?」

「まさか……気のせいでしょう……」

「お名前は?」

「あ、な……長澤です」

「長澤さんですか……昔、私に野球を教えてくれた人に、何となく似てた様に思って……そうですよね、あなたは私よりも若い」

「そうですね……」

「しかし、お礼も言えなかったな~……プロになって、メジャーに行って……日米で通算448勝、メジャー通算254勝……色々な関係者を使って探したけど……中澤剛は見付からなかったな~……」

「……まぁ、そんな事も有るんじゃないですかね?……それより、どうしてこの時計を?」

剛はロレックスの腕時計を箱と鑑定証と一緒にテーブルに置いた。鑑定証を航は持ち、満面の笑顔で喋り出す。

「これこれ!親父が付けてた時計!……いつしか、俺も付けたいと思ってたんだよな~……お世話になった人に上げたって言ってたっけ……この持ち主は?」

「さて……それは知りません」

「そうですか~……親父の変わりに、お礼を言いたかったな~……」

「……失礼ですけど、ご両親は?」

「母親は元気ですよ。今も、色々と趣味をやってます。父親は……5年前、肺炎を拗らせて……」

「そうですか……」

「それでも、幸せだったって、いつも言ってましたっけね~……一緒に住んで良かった」

「工務店は?」

「知り合いに譲りました。今も頑張ってますよ」

「そうですか、それは良かった」

「これ……本当に500でいいんですか?」

「はい、そうらしいです」

「では、これで……」

航は紙袋を出した。中には100万円の束が5つ有る。

「確かに!……では、こちらを……」

「ありがとうございます!」

航はすぐに、ロレックスの腕時計を右腕に嵌めた。

「……やっとだな~……」

「では、私はこれで……」

「あ、ちょっと!……どうやって手に入れたの?」

「……企業秘密です」

「そうだよね……兎に角、本当にありがとうございました!」

「いえいえ……それでは……」

剛は立ち上がり、軽く頭を下げた。コーヒー代を払おうとしたが、航が持つとの事で剛は改めて頭を下げた。


事務所に帰って来た剛、

「守人、これ!」

「おう、ご苦労さん」

「ああいう事ね、なかなかやるな?」

「お褒めの言葉、痛み入ります。これ、お前の取り分な」

「おう、悪いな!……よしよし、これを貯金して……」

「貯金して、どうすんだ?」

「馬鹿だな~、お前と仕事して未来に行ったら……競馬で大儲けだ~!」

「剛、今日の第11レース……連勝単式9-1……347.8倍……」

「な·ん·だ·と~!…よし、200万全部突っ込むぞ~!」

剛は慌てて事務所を出て行った。

「……来る訳ねぇだろ、バ~カ!あ~はっはっはっは~!」

この後、剛は一瞬にして200万円を失くした。物凄い形相で事務所に帰って来たのだが、

「そんな簡単に金を稼がせると思ってるのか?」

守人の一言で撃沈した。とはいえ、守人は人生の勉強代として、改めて50万円を剛に渡した。剛はその50万円を、今度はしっかりと貯金した。

色々と有ったが、新生解決屋の最初の仕事、見事に解決である。この2人、色々とやってくれる……様な気がする。

一件落着!

迷コンビ誕生!名コンビになるといいな!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] なかなか息の合う2人ですね! 次はどんな事件がまちうけていることやら。。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ