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暁の歌、響け世界に 《地の巻》  作者: John B. Rabitan
第2部 妖魔
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6 恒例の夏合宿

「今年も恒例の夏合宿をやりたいと思うんだけど」


 ってか、話変わりすぎだろ。


 でも、女子たちはもうテンションあげて、手をたたいて喜んでいる。


「あ、康ちゃんは初めてだから説明しておくね」


 チャコが俺を見た。


「え? 俺も参加していいの? ってか、俺、部員なの?」


「だからねえ、康生君」


 島村先輩がちょっと眼鏡の端を触ってから言う。


「この部は入部とか退部とか、誰が部員とかそんなのはないんだよ、前にも言ったけど。ここに来てれば仲間だ。飽きたら来なくなればいいだけのこと。だから勧誘もしていない」


 たしかに前にも聞いた。どうも自分には部外者意識があったのだけど、そんな意識はいらないのかな?


 でもやっぱり引っかかるのは、ここにいる人たちは能力者だっていうけど俺は無能だ。

 いや、正確には俺は健全なアニメオタクであって、中二病ではない。

 だから、中二話には時々ついていけない。


「やっぱついていけないよねえ、体験がないと。だからこの合宿はそういう意味でもお勧めよ」


 ちょっと待てよ。この美貴って子、なんでこんなに鋭いんだ?

 なんか俺の考えていることが筒抜け。もしかしてこれが美貴の……いや、まさか……。って、前にもそんなこと考えたっけ……。


 美貴はクスッと笑った。


「まあ、それでだね」


 島村先輩が話を続ける。


「もちろん合宿参加は強制ではない。興味があるようだったら参加すればいいだけのことだよ」


「うん。合宿って言っても、そんな堅苦しいものじゃないよ」


 チャコが透き通るような微笑みで言う。


「キャンプ場でテント張って、飯盒でご飯炊いて自炊して、バーベキューもあるし、キャンプファイアーとかもやって」


 どうも運動部の強化合宿のようなイメージがあったけど、これじゃレジャーだな。みんなで遊びに行こうって感じだ。

 研修所みたいなところで、超古代文明の文献とかの勉強でもしに行くのかとも思ったけれどそれも違うらしい。


 もっともこの部活、看板だけ掲げているけれど、普段から超古代文明の研究なんかしていない。


 そういう合宿なら楽しそうだし、参加することにやぶさかではない……って、この言葉、最近覚えたばかりなので使ってみたかっただけだけど。


「で、どこへ行くんですか?」


「県内だよ。もっと山の方だけど。そこに行きつけのキャンプ場があるんだ。行くかい?」


「行きます」


 なぜか即答してしまった。「考えておきます」くらいでもよかったのだけど。


 聞いた日付は八月初旬。


 どうせ暇だからいいかくらいにしか、俺は思っていなかった。



(「第3部 夏合宿」につづく)

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