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第35話 デート(2)

 そんなわけで、週末の片方は奈都と二人で過ごすことにした。

 三寒四温の三寒の方だったので、少し厚めの服で家を出る。待ち合わせ時間より早く着いたが、奈都は先に来ていてスマホでゲームをしていた。珍しくメイクをしていたので突っ込むと、恥ずかしそうに顔を背けた。

 水族館は市内のベイエリアにある。なかなか大きな水族館で、シャチもいればイルカのショーもある。昨日調べたら、ペンギンもいるし、ベルーガもいるし、深海魚もいるし、ウミガメもいる。クラゲもたくさんいるらしいから楽しみだ。

「奈都は魚は何が好き?」

 イエローラインに乗り込んですぐ、奈都に話題を振ってみた。当然水族館の話をしたつもりだったが、奈都は笑顔で突飛なことを言い出した。

「ホタテかな」

「寿司ネタの話はしてないから」

「じゃあ、イルカかな」

「それは魚なの?」

「質問が悪い」

 それは一理ある。私はクラゲが好きだが、魚かと言われるとどうだろう。スマホで調べてみたら、クラゲは魚ではなくクラゲだった。

「クラゲってクラゲなんだって」

 また一つ勉強になったと告げると、奈都は困ったように微笑んだ。反応が芳しくない。何か変なことを言っただろうか。

 恵坂で乗り換えて港を目指す。奈都が突然、猫カフェのことを猫はどう思っているのかと話し始めたので、思わず首を傾げた。

「盲導犬は、ご主人様と一緒にいられて幸せだってCMを見たよ」

「猫カフェの猫も楽しんでる可能性はあるってこと?」

「そうなんじゃない? 猫から聞いたわけじゃないけど」

「そっか」

 何やら納得したように奈都が頷く。腑に落ちたのなら良かったが、もう少し詳しく説明していただきたい。眼差しでそう訴えると、奈都は昨日テレビの特集で見たと言った。

「可哀想かなって思ったけど、それは盲導犬を可哀想って思う気持ちと同じかもしれない。猫カフェの猫に失礼な感想かもしれない」

「奈都って真面目だよね」

「今、そういう話はしてないから」

 奈都が目を丸くして大袈裟に手を広げた。仕草が可愛いが、笑うと怒りそうなので猫の話に付き合うことにした。

 猫が可哀想ではないなら猫カフェに行きたいのかというとそういうわけでもなく、単に感想を述べただけらしい。猫は好きなようだが、遠くから眺めているくらいが丁度いいようだ。

「生き物って怖いもんね。人間とか」

 私も同じだと共感を示すと、奈都はブンブンと首を横に振った。

「同じじゃないし!」

「奈都とすらわかり合えない」

「わかりまくってるから!」

 奈都が自分は理解者だと胸を張るので、千紗都クイズをしていたら駅に着いた。5問中4問正解したので、なるほど私の良き理解者と言ってよさそうだ。


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