39. 噛み合わない連携
アルマデスの凄みもあり、なんとか幼なじみ三人を六十階層まで連れてくることができた。
あとは一階層ずつ風魔法で登りながら、土魔法で穴を埋め、そこに砕いたダークスライムの珍核を投げ込むだけ。
そうすれば土魔法で作った床は固まって修復できるとクレッシェは言っていた。
根気がある作業だなと思いつつ、五十九階層で穴を塞ぐ。
周りの冒険者は一体のA級モンスターを相手に苦戦している。
それもそのはず。
A級モンスターは即死魔法では瞬殺だが、本来は倒すのにかなり時間がかかるものだ。
クレッシェもそれを危惧してか、三十を超える冒険者を集めた。
ガルーダのB級炎魔法ブラッドインフェルノがアルマデスを襲う。
「マジカルセーフティ!」
イーランで見かけたことのある男が瞬時にC級障壁魔法でアルマデスを守るも、B級魔法の方が強くアルマデスは吹き飛ばされる。
「てやぁぁぁあ」
隙を見計らってダレットが剣で斬るも致命傷には至らない。
「イーランの冒険者は弱いぜ! くらいやがれ! マッドボルケーノ!」
C級炎魔法か。
スキルは成長する。
エルドレッドのD級炎魔法はC級炎魔法に進化したのであろう。
やはり才能は否定できないな……。
「しかしあれは悪手だ」
炎に秀でたガルーダに使っても大したダメージは見込めない。
「うぇっ、ぜんぜん効いてやがらねえ!」
案の定てんやわんやしている。
まだそんなことも知らなかったのか。
「弱者はひいていろ。わたくしが全てやる。ホーリーエンドレス!」
光の雨がガルーダを串刺しにする。
──ギィアァァァア──
獰猛な鳥は絶命した。
倒せたものの少し不安が残る出来だ。
まるで連携ができておらず、自己主張が激しい。
「ちぇっ、ラストアタックボーナスは無しかよ」
「あのA級魔法士が邪魔してんなあ!」
「ね! エルなら倒せたはずなのに」
これではいつパーティーが崩壊するか分からない。
「あのな……。誰が一番強いか決めるために今回のクエストがあるわけじゃないだろ」
「そうですよ。みなさんで力を合わせないと……。高レベルな階層なんですから」
「アインも生意気ね〜。この前まで戦闘じゃ足手まといだったのに〜」
「そうそう、俺が何度回復魔法を使ってやったことか」
いやいやヴァイアンは全体回復魔法だから、俺もついでに回復されてただけだろ……。
俺はダンジョンでは負傷してなかったはずだが。
まぁそんなことを言ってもまた揚げ足を取られるだけ。
「よし、床は固まったな。みんな、次に行────
と、上には大きな影。
「アンちゃん、危ねえ!」
俺はとっさに前転して回避する。
──ズゴォォォォン──
「ミレア、ヴァイアン、あれなんなんだよ……」
「わたしも分からない……」
「なんだあのくそでかいゴブリンは……ッ」
俺がもといた場所には天井まで届くほどでかいゴブリンの姿。緑色の巨軀、手に携える粗暴な巨大棍棒、全てが規格外だ。右目は赤く、左目は青い。
「みんな、陣形を組むんだ。これは五十七階層主、ゴブリンオッドキング……」
立ちはだかるのは最強の攻撃力を誇る化け物だった。




