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塩の道と砂漠蛇  作者: らくしゅ
5/5

砂漠蛇

ヴァンが指差す目印は。

オ-ディが立てた高い止まり木の上で居眠りしている竜の黒曜。


仕事中にまた迷子になられてはと、昼間は腰に紐をつけられフェロウに行った里の仲間が、

帰路通るのを見張る役目を与えられたが、暖かい日差しは心地よく睡魔に誘われ夢の国で

遊ぶ黒曜の姿が毎日見らた。


「降ろす」ヴァンの隣で外を眺めるシャランが、振り返りオ-ディをみる。


「かまわずに置とけ 目印にはなるだろ。黒い翼竜のチビはクロ助とすぐ判るだろう。白露はどうした」

「川に鮭がいると捕りにいったけど」

お茶を啜りシャランが答える。


ヴィラがオ-ディのカップにお茶をつぎ足し言う。

「白露が捕ってくる材料で、作った料理は評判が良くてね。あんた達には感謝してるよ」


「迷惑掛けたのは、わたし達の方で‥あれ白露‥」

窓の外に出掛けたばかりの白露を見付けシャランが窓に近寄り開ける。


「大変‥大変‥人ガ砂漠蛇ニ襲ワレテイル‥お-でぃ急イデ」

窓から白露が慌ててオ-ディを呼ぶ。


砂漠蛇は砂漠に生息する体長一六尺・太さ二尺程のミミズに似た蛇で砂の中を移動 集団で獲物を襲い

絞め殺し絶命させ食らう。湿気を嫌い街道沿いには

居ない生き物だが、乾期が続く今時分の季節稀に

枯れた草原に獲物を求め迷い込む事がある。

その滅多に無い出来事が起きた。


オ-ディは、駆け急ぎ 宿の横に置いていた。

自分達の籠に向かい荷物の中より幅は半尺・刀身三尺の大刀を取り出し 一人用の鞍を付け待つ白露の

背に飛び乗り飛び立つ。


「俺達も行ってみよう」

ヴァンが馬を二頭連れ戻って来た。

「あぶないよ」ヴィラが息子を止める。

「襲われたのは、うちに泊まってくれた

客かも知れないだろ。

怪我人がいたらオ-ディ一人では無理だ」


「わたしも行きます。砂漠蛇は何度か退治

したことありますから」

細みの剣を背負ったシャランがヴァンの横に

立ちほほ笑んだ。


「くれぐれも無茶はしないでおくれ」「判ってる」「急ぎましょう」

軽々と馬に跨がりシャランが先を走る。


樹木が立ち並ぶ緩やかな丘を越え草がまばらな平地を十分程走ると空を飛ぶ白露の姿が見え

更に近づくと大地に降り大刀を軽々振り飛び掛かる砂漠蛇の首を切り落とすオ-ディの姿が見えた。


砂漠蛇の数は多く足元下から飛び掛かり

また砂の中に逃げる。

襲われ荷馬車に避難する商人達と怪我した同行人

を庇いながら砂漠蛇を退治する。

オ-ディは苦戦していた。馬車の側には砂漠蛇に絞め殺された馬の死骸が見える。


シャラン達に気付いたオ-ディが叫ぶ。

「足元に気をつけろ。奴らがいるぞ」

足元の地面が少し盛り上がった瞬間・砂漠蛇が地面より飛び出て来た。


馬が驚きヴァンとシャランは地面に振り落とされた。

「しゃらん」白露がふたりの前に飛び込む。

瞬間砂漠蛇は白露の首に巻き付くが、白露の鋭い前足の爪で切り裂かれ地面に落ちのたうち回る。

背中の剣を鞘より抜きシャランが蛇の頭にとどめを刺す。


「ヴァン走るから後を追って」

新しい獲物達の動きに馬車近くを取り囲む蛇達が

地上に這い出す隙を逃さずオ-ディが

大刀で蛇達を切りまくる。


切り付けられ砂に逃げ込もうと身をくねらす。

砂漠蛇をヴァンの斧が叩き切り。


馬車の人達を狙い襲い掛かる砂漠蛇達を

白露とシャランの連携攻撃で動きを止める。

辺りは砂ぼこりがもうもうと立ち 三人と一頭の

攻防は続いた。

シャラン達の協力で十数匹いた砂漠蛇は全部

退治出来た。


「助かったぜ‥こんなに居たとは‥」

大刀で体を支え砂まみれになった白髪頭のオ-ディが、乱れた息を整えながら、砂漠蛇の死骸を眺める。


「今夜ハ 砂漠蛇ノすてーきカシラ」

と言いながら白露とシャランが、うきうきと砂漠蛇を

切り分けている。


ヴァンは馬車の人達の怪我を確認。

逃げてた馬を口笛で呼び戻し馬車に繋ぎ

宿場へと移動しながらヘロヘロオーディを回収し。

「お疲れさん」と声をかける。

ヴァンの隣で砂まみれ男は「おう」と笑った。


人の呼び声に前を見れば心配し追いかけて来た

バスチャスと村人達が馬車から駆け寄って

砂漠蛇の山に驚いてる横からシャランが

「これ運んで貰えますかと」砂漠蛇の輪切りを

両脇に抱え立っていた。


「塩茹でして薄切りに切り 乾燥干しすれば

保存食になりますし 三日位ならステーキも

いけますよ」綺麗な顔で蛇を食うのかこの娘はと

バスチャスは心の中で呟いたが、その夜シャラン

が料理した蛇は想像より旨く。


しばらく宿場から蛇肉回収の作業が続いた。

牙や皮 肝も酒に漬け薬酒となり オーディ達の

借金も無くなり冬越えの資金が出来た。


昼近く宿場へ戻った一行を迎えたのは、

絡まった腰紐にぶら下がり爆睡する黒曜の姿だった。


イォク-ル国の話 まだあります

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