塩の道
竜と共に生きる人々の物語
様々な人種と国が点在する広大な大陸ラセッタ。
その大地を北から南へ西から東へと移動する人々が行き交う街道。
大陸の中心地・古都ガランより北東方向・北の商業港町フェロウに続く道も
何百もある街道のひとつである。
古くから良質の岩塩が産出されるフェロウへと、古都ガランより塩を買い付けに来る
商人達が通る事から、いつしか街道は塩の道と呼ばれるようになった。
街道沿いには、必然的に宿場が出来き長旅を続ける人々や荷車を引く馬やロバの
休息の場所として発展して行った。
日差しが暖かいと、いっても風は冷たい秋の空を白銀の鱗を持つ翼竜が1頭・古都ガランへ
向かい飛行していた。竜の背には人や荷物を安全に運べる様に籠型の鞍が皮のベルト
で固定されている。翼竜は街道に沿って何かを探すように低くゆっくりと飛び続ける。
籠型の鞍は横5尺縦8尺高さ5尺で、植物のつると竹で織られた軽くて柔軟性のある造り
で後方に荷物 前方は二人程が乗れる様になっている。荷物の出し入れは取り外しの出来る天井部より行い、天井と荷物を固定した後は竜の頭後側に開く出入り口より中に入れる。出入り口部分は人間が一人座れる様に少し出っ張っており竜の首にまたがり座ることになる。
「ったく‥何処に居るんだぁ‥ぅあ~あ~っ」
竜の首にまたがり座る二〇代初めの青年が大きなあくびをする。
褐色の肌に少し癖毛な漆黒の髪を後ろに束ね薄緑のゆったりした麻織りの丈の短い上着に同じ布の細目のスボン・素足の足をぶらつかせ籠の中の少女を振り返り意地悪く言う。
「なあ‥どうせ帰りもこの辺通るんだ。置いてフェロウへ行こうぜ」
籠の隙間より外を見ていた少女が青年ににじり寄り
「本気で言っているの」
銀のサラサラな髪たまご型の輪郭に白い肌ヒスイ色の大きな瞳小さな鼻・桜色の唇を怒りの形に
結び少女は、青年を睨みつける。
やや面長な輪郭に意志の強さを表すがっしりした顎に大きめな口・並の鼻に焦げ茶色の並サイズの目・太い眉の青年は、もう うんざりだと次の言葉を吐き出した。
「一晩中探したんだ白露も限界・俺もダウン」
言いながら籠の中の少女の膝にガバッと抱き付いた。
すかさず少女は青年の顎に拳でパンチをお見舞いさっさと出入り口に座り竜に話しかける。
「白露一休みしてもう一度フェロウ方向を回ってみる」少女の問いに竜の白露は
「モウ少シ先‥ソウ‥アノ宿場町ヲ 通リ過ギタ山沿イデ休ミマショウ。
本当ニ何処ヘ行ッタノカシラ」少女に答えながらも白露は朝日が差し込み始めた大地や
樹木に探しものが居ないか視線を巡らしていた。
短編作品の練り直しにゃ(*^_^*)