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12話 その5

その時…依頼主が笑顔で頷くと受け取ってくれた。


「なにこれ!!美味しい!」


匂いに釣られて皆んな集まって来た。


「不思議な味!!まろやか!手がとまらない!」


「これ本当にパンなの?柔らかく食べやすい」


みんな喜んで食べてくれてだ。


それで依頼主のお姉さんとマリーヌにも持って行った。


「マリーヌさん達もどうですか?」


マリーヌは料理と護衛達をじっとみた。


「毒は……入ってないようだな…」


ほぉーー!言ってくれるじゃない!


「バブ~バブ~♪♪」


「ひぃぃぃ!!」


マリーヌの細胞一つ一つは僕に対する恐怖が刻まれたようだった。


「いい匂い!頂いてもよろしいでしょうか?」


依頼主も食べてくれた。


「とても美味しいです!このシチューって料理も美味しいですが、こんなに柔らかくほんのり甘くて香ばしいパン…食べた事ありません…」


依頼主もシチューとパンに夢中になった。


「まだまだあるから沢山食べて!」


皆んな喜んで食べてくれたお陰でシチューとパンは完食!


後ろで猿(自称兄)とリス(自称姉)は量が足りなかったか…ウキーウキー、グイーグイ、エサのねだりでうるさかった。


馬達も体力を取り戻したようで元気になった。


また出発した僕達は早くも日が暮れる前にラーズ王国の国境都市ヒューデンに着いた。


「よし!補給担当は商会に、残りは警備に当たれ!」


「はっ!」


「今日は順調だったな…マリーヌ」


「何も無ければそれが一番いい…」


「だな…俺達はどうする?」


「ここは衛兵も多くて治安もいい…今は我々だけでも大丈夫だ…補給済ませて休んでから夜に護衛と警備の交代を頼みたい」


「わかった」


僕とクイル兄達も街に補給の為に市場に向かった。


辺境であったが品揃えも豊富で質も良かった。


若干値が高いが…経費まで負担するとの契約だったので遠慮なく買いまくった!


「弟よ…ここはいい肉が多いな」


「……だね」


クイル兄さんは肉をがっつり食べたいような目をして精肉店の肉を見ていた。


ちっ!明日は肉料理か…仕込み大変だな。


「あの…その肉下さい」


「あいよ…まいど」


「弟君…女性は甘いものも必要よ…」


「うん…皆んな女性だしね…」


ああ…面倒だ!簡単なロールケーキにでも作ろう。


「あの…小麦粉と牛の乳…砂糖…卵下さい…あとあの果物も」


「あいよ…まいど」


「あとこの先から3日ほど野営が続くぞ」


「そうなんだ…保存食も用意しなきゃ…ちょっと待って!」


何で貴方は何も買わない?まさか全部僕に作らせるつもり?


クイル兄さんとネイビー姉さんは輝く笑顔で首を上下に振った。


こいつら!


日が暮れるまでクイル兄とネイビー姉の回りくどい欲望に塗れた要望が相次ぎ…。


買い物が終わって仕込みや保存食の調理で交代時間までかかった僕は一睡も出来なかった。

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