12話 その4
クイル兄達は遠出の依頼がある時は必ず僕に声をかけている。
その理由は…この料理が目的だった。
「出来たよ…」
「ほぉ!いい匂いだ、頂きます!うまっ!」
「何!このパンなんでこんなに柔らかいの?ふいひいぃ…むぅぃく!(美味しい…もう一個)」
ネイビー姉は口周りが破裂しそう…リス見たい。
「おいこら…飲み込んでから喋れよ」
この世界のパンは味があまりしないしてパサパサで硬かっだ…。
携帯食のパンは言われるまでもなく更に硬くて不味い。
そのパンを食べてる護衛達…どんな味覚してるか…不思議だ。
しかし…自分達だけ料理を食べていると心苦しくて皆んなにも配ろうとした。
でも…護衛達は休憩時も武器を手離さないほど厳重だったので話しかけ辛い。
仕方ない…僕を怖がっていた村の姉さん達の対策で覚えたこの技…。
この奥義!今披露しよ!可愛く可愛く…よし!
姉キラーモード発動!
激カワオーラ全開!
レッツゴー!萌え萌え…ドライブゥウー!
「お姉ちゃん達…僕が頑張って作ったんだ~♪この料理食べてくれる?」
まずもじもじしながら上目遣いをしてみた。
「ああ!全部寄越せ!食べてやる!」
「胃袋が破裂するまで詰め込んでやるわ」
…冬眠前の蛇かよ。
クイル兄とネイビー姉が抱きついて料理を取ろうとした。
なので…軽く蹴り飛ばしてやった。
そして…料理を照れながら笑顔で皿を渡す!
彼女達も僕の仕草に頬が緩んで嬉しそうに受け取ろうした。
だが一瞬躊躇した。
くっ…手強いな。




