10話 その7
僕は宿に戻って早速、魔法本を読み始めた。
字が読めなかった僕はリリヤに教えてもらった。
不思議と復習する必要がなく頭にスラスラ入って来る感じだった…。
リリヤには天才とまで言われたが…。
僕は頭が悪い方では無いがこれほど暗記力と理解力は無かった。
なんか凄く分かりやすい…これもルル姉のお陰だろうか?
「ふむふむ…おー!上級無属性魔法は自分だけじゃ無くて物や他人まで強化できるんだな!使ってみたくなるー♩」
その時…隣の部屋の壁から'トン'と叩く音がした。
興奮して大声で喋ってしまったせいか?
集中し過ぎると考えた事を口に出すのは僕の悪い癖だ。
「すみません…静かにします」
一応、謝ってから今度は闇属性の本を読み始めた。
「へぇ…呪殺とか本当にえげつな魔法ばかりだな…すげ…」
魔道士に聞いた通り大量殺傷を目的とした魔法が多かった。
「魔神や闇精霊に同調…うん?空のカナタ…?闇の空間を歪み……巨山を降り落とす??」
まさか!これって!!あの伝説の魔法メテオストライク?
待てよ?何故メテオが闇魔法?
詳しく調べると空の果(宇宙)では特定のの空間以外闇精霊しか存在できないらしい。
「なるほど…しかし…すげーよ!すげー どれどれ…汝、全ての破滅を導く…偉大にして悍ましく…我は求む魔神の鉄槌…砕けて…滅せよ…全てな…」
僕はメテオストライクの復唱を読みながら暗記を始めた。
その時…隣の部屋から凄い勢いの足音が聞こえてから僕の部屋のドアが壊れた。
「はぁはぁ…ハルトぉぉ!!」
双子だった…双子が突入して来た!!双子が侵入して来たぁぁぁぁ!
「な、な、何?イリヤ?リリヤ?どうしてここに?」
イリヤはすんご~く怖い顔で僕のクビを締め上げた。
「けっ!けっ!イリヤ?」
「無茶しないでって言ったよね!!あん?人の話聞いてた?なんで復唱始めてるのよ!死にたいの?死んでみる?死なせてあげようか?」
「けっけっ…死ぬ死ぬ…マジで死ぬってけっけ…悪かった…イリヤ…」
イリヤの腕をトントン叩いてギブアップサインをした…。
だが…異世界人にはこれが伝わらない!くっ苦しい!
「お姉ちゃん…まだ生きてるようですが…力弱めてません?」
ち、ちょっと…リリヤさん?
リリヤは氷のように冷たく怖い顔で僕を見ていた。
「ご…ごめんな…なさ…」
あー意識が…空から……闇の魔神がよんでるーわーい♩
意識を取り戻してから二人に長々と説教されて…初級本以外没収された。
心配になった二人は…僕の隣の部屋を借りてずっと監視していたらしい。
ストーカーかよ!…それに癖で口に出してしまっただけだ!
この雰囲気だと返してっと言ったら…殺される!
今度…機嫌が直ったら返してもらおう…。
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次の日…冒険者ギルドで双子と集合してイビルゲートに潜る準備をした。
「もう…イリヤ…ちょっと見てよ…クビにアザできてるよ!」
「じ、じ、自業自得だわ!」
申し訳ないような表情だったから…許した。
「ふふふ…気になるならスカーフで隠します?ウフフフ」
リリヤは氷のような笑顔でスカーフを僕のクビに掛けようとした。
絞め殺される!
「いや…遠慮しておきます…」
リリヤは怒るとまじで怖かった。
そんなキャラだったの?殺気半端ねぇ…
「よう!坊主、今日も潜るのか?」
「はい、とこにぶつければいいか分からない鬱憤を魔物達に当て付けしたくね…」
すまん魔物達よ、しばらく僕の相手をしてくれ!
「なにそれ?まあ…いいけど…わしはまた…しばらく留守にするぞ」
「何かあったんですか?」
おじさんは完全武装して大きいバッグまで装備していた。
受け付けなのに…大変だな。
「ああ、昨日王都から離れた荒野に星振りがあってね…それを調べにな」
「…………………?」
「その荒野は滅多に人は通らないから人的被害はなさそうだが…凄い騒ぎになってる…うちたげじゃなく周辺ギルドまで招集がかかってな…最近色々あるね……何か不吉な予兆かな…」
「…………………」
うん…そうかそうか…それは大変だ……。
「そんじゃ行って来る…坊主も気をつけな!それに…潜るのはほどほどにしろよ!」
「お気をつけて!行ってらっしゃいまっせ!」
僕は力強く完璧な90度角度で腰を曲げた!
そう、記者会見でよく見るあの姿のように…。
「お、おう……?」
「い、行くよ……イリヤ、リリヤ !今日はギルドの為に超頑張るぞ!!」
「ん?なに?どうしたの?」
「別にいいですが…?」
双子は知らない…僕が復唱していた魔法が何かを…。
おじさん…こめん!




