10話 その3
ね……」
「しかし…31階層からキツくなってきたね」
「はい…31階層からは上級エリアですから…魔法を使う魔物も出て来るらしいです」
「魔法!魔法ね…憧れるな…」
僕はカッコ良く魔法を連発する自分を妄想しながらニヤニヤした。
「魔法適性があればね…私達はなかったけどね…でもうちらは生まれから風の精霊の加護を授かったよ!これ内緒よ!」
イリヤは他の槍使いより段違いの速さと威力があってリリヤが放つ矢はかなり遠い距離でも易々命中する。
元々戦いのセンスもいい…加えて加護で更にそれを発揮出来ていた。
それに、加護持ちは中々居ないと自慢するイリヤの表情…。
あらまあー憎たらし!全く…!
しかし…加護なら僕も持っているが同じようなものかな?
「へぇー…それって神様の加護と同じようなもんなの?」
「は?神の加護?それに比べるには恐れ多いわ…神様の加護は勇者や賢者か聖女みたいな…おとぎ話の英雄くらいだよ…それぐらい強力なの…」
「そ、そう?」
やはり…僕は、ルル姉に守られて居たんだ。
ねぇーイリヤ、僕は破壊の女神様の加護持ちだよ?中々いないよ?うふふ…っと憎たらしい表情で倍返ししたかったけど…。
先の話を聞いてバレたら面倒な事になりそうで黙って置く事にした。




