8話 その11
次の日になって彼女達は先にイビルゲートの前でハルトを待っていた。
イリヤは腕を組んで凄い貧乏揺りをしながら怒りモード全開中だった。
「遅い、遅い、遅い……あいつ来ないんじゃない?」
「そ、それは無いと思うけど…」
そう言ったリリヤも少し不安そうな表情をした。
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約束の時間から一時ほど遅れた僕は全力でイビルゲートまで走った。
やばい…寝坊しちゃったよ…最悪だぁぁあ!
ああ…これで、ボッチライブ再開かもな…。
しかし…イビルゲートの前で僕を待っている双子が見えた。
凄く大きいバックを背負っているし。
僕の言う事を聞いてくれたのは嬉しいが…そこまでは大きいのは…まあいいっか!
いやいや…今はそれどころじゃない。
イリヤの顔が凄く怖くて…一瞬…宿に戻ろうかなと悩んでしまった。
でも…勇気を出して双子に向かった。
「ごめん!待たせてしまって…怒って先に入ったかと思ったよ」
「遅いよ!!来ないんじゃないかと思ったわ!」
「本当に来てくれて嬉しいです!」
イリヤは怒っていたが…リリヤは凄く嬉しいように笑ってくれた。
うん…あの顔の前で寝坊したと言い辛い。
「まぁ…いいわ!ちゃんと来てくれたし、時間が勿体無いから早速行くわよ!」
イリヤは短気に見えるが後がない性格のようだ…ありがとう…助かる。
僕達はイリヤゲートに潜り1~4階層は素通りして5階層に着いた。
「ここでこれから腕慣らしと…下の階層で同じ事やるからしっかり覚えて欲しい」
「わかったわ」
「はい!」
僕達は移動しながら役割を決めた。
「役割は昨日と同じだが、イリヤはリリヤの護衛に集中してリリヤが遠距離サポートに変わるだけ…よし!ここが良さそう」
行き止まりに3、4人がギリギリ通れるほどの通路…ここならいける。
「行き止まりだよ?これじゃ逃げられないよ?」
「そうですよ…」
「ここでいいよ!リリヤは壁の方で待機!イリヤはリリヤの護衛!頼んだよ!んじゃ始めるか…」
僕は走って魔物の群れに飛び込んだ。
「えー?ちょっと!なに?意味分からないわ」
「お姉ちゃん…ハルトさんを信じて待ちましょう」
5分ほど回ると沢山のお客様が集まった。
満足した僕は双子がいる場所に戻った。
「キタキタ!二人共!!構えて構えて!」
30体ほどのオークが僕を追って来る姿に双子達はパニックになった。
「ひぃーー!なにしてんのよ!あんた!あ、あ、あれを信じた私が馬鹿だったわ!」
「は、ハルトさん!ああ!」
彼女達の前に到着した僕はオーク達に向かって戦い始めた。
予想通り狭い空間でオーク達は体が詰まって3体しか自由に動けなかった。
「なるほど…そいうことね!リリヤやるわよ!」
「うん!お姉ちゃん」
それを見た双子はすぐ理解して応戦した。
双子は頭が良くて判断力もいい。
言わなくても僕のやりたい事を読み取ってすぐサポートしてくれた。
僕が壁役とアタッカー、イリヤは抜け出たオークからリリヤを守ってリリヤは弓で数を減らした。
そして…あっという間に30体を殲滅した。




